トランス女性と公衆浴場「身体的特徴で判断を」法整備なぜ必要? 片山さつき氏「“外観要件”には意味がある」 当事者「あなた達が守りたい女性とは誰のこと?」
まず片山氏は「性同一性障害特例法において、性別変更が認められる場合には、今まで“生殖要件”と“外観要件”があったが、(昨年10月の)最高裁判決で『生殖要件は違憲だ』となった」とした上で、今回の広島高裁判決は「スペースがわかれている公衆浴場などでは、同じ性同士ならば互いに性器が見えてもいいが、そうでない場合には羞恥心や危険性がある。身体的特徴で分ける外観要件には意味があると、裁判長が明言した」として、「グッドジョブだ」と評した。
LGBT理解増進法は、LGBTなど性的少数者への理解を求め、性的指向・ジェンダーアイデンティティの多様性に寛容な社会の実現を目指すもの。第3条では「不当な差別はあってはならないとの認識の下に、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを旨として行わなければならない」と定めている。 では今回、あえて別の法律を定める理由は、どこにあるのか。片山氏は「高裁判決は、性器を取っていない人も外観上問題がないとする一方で、外観要件には意味があるとした。この司法判断が誰にもわかるように、原理原則は法律にしつつ、細部は政省令や通知に落とし込む」。議論にあたっては、LGBT関連の団体とも意見交流したが、「男女が身体的特徴で明確に区分されてきた場所で、(法制化を)ダメと言った団体はゼロだった」と語る。 性同一性障害特例法は2003年に成立した。「手術で生殖器を取った人が、戸籍上の性別を変更できるようになった。当時は違和感の強い“障害”で、医大の外科医が『合法化すべきだ』と手術ありきで制定した」と経緯を説明する。 当事者からは「手術の道を残してほしい。外科的に証明されれば、それ以上は聞かれない」との要望が寄せられた。一方で、精神科医からは「手術なしで判断する責任を、医師に負わせないで」と望まれたという。「『精神科医は心の悩みに寄り添ってしまう。なりすましの排除は無理だ』と断言された」と述べた。