トランス女性と公衆浴場「身体的特徴で判断を」法整備なぜ必要? 片山さつき氏「“外観要件”には意味がある」 当事者「あなた達が守りたい女性とは誰のこと?」
■トランスジェンダー 丸井一花さん 当事者の思い
トランスジェンダーの丸井一花さんは、2016年に性別適合手術を受けて、戸籍を女性に変更したところ、女性扱いされることで気楽になったと語る。女子トイレの使用は、手術前の女性ホルモン治療を始めたころから、友だちに付き添ってもらう形で始めた。女湯への入浴は、手術後かつ見た目が女性と自己評価できた後で行った。髪の毛の長さやメイクに気をつかい、また自己防衛のため1人で入ったことはないという。 丸井さんは前提として、トイレや浴場において身体的特徴で分類することは「必要だ」と考えている。「今の世間において、『性自認が女性だから』と女性風呂に入るのは絶対によくない」。しかしながら、新たな法整備には「同じ話を繰り返し、強調しているように見える」と違和感を示す。 その背景には「SNSでのトランスジェンダー女性に対する誹謗中傷が、LGBT理解増進法の議論から、段々増えていると感じる」ことがある。「法律成立で一般化されて、学校教育もできていない中で、急にジェンダーの話が出ると、かみ合わないのではないか」。 丸井さん自身は、親から「男性として生きなさい」と言われて育った。「女の子と遊んでいたら、『男の子と遊びなさい』と言われた。一人称も“僕”を使うほどに、自分に対するマイクロアグレッション(小さな攻撃)が起きた。自殺を図ったが、たまたま生きていたので、性別適合手術を受けることにした」と振り返った。
■「あなた達が守りたい女性とは誰のこと?」
片山氏が共同代表を務める「女性を守る議連」は、LGBT理解増進法の成立に慎重だった保守系議員らが設立した。共同通信によると、「性自認を主張すれば体は男でも女性トイレや女湯に入れてしまう」との懸念があり、性的被害の多くが弱い立場の女性に対してであることから、男女別の施設で女性が安心して利用できる環境の確保が必要との考え方だ。 議連の名称に対して、丸井さんは「守りたい“女性”とは一体、誰を指すのか。トランス女性は入っていないのか」と問う。これに片山氏は「マイノリティーもマジョリティーも折り合いをつけた方がいい。自然科学では、性別は性自認で決まるわけではない。しかし生活において違和感を覚える人がいるから、性同一性障害特例法を定めた。最高裁判例から総理答弁まで、日本では『性別は性自認ではなく、生物学で決まる』との考え方。その上で寄り添っていくという考え方だ」と返答した。そこで改めて、丸井さんが「私は女性なのか」と問うと、片山氏は「特例法上は女性です」との認識を示した。 (『ABEMA Prime』より)