職場で「再雇用」の話が出ていますが、定年後の再雇用は年収が「約20%」も下がると聞きました。別会社に再就職すべきですか? 年収が下がるのは“仕方ない”でしょうか…?
最近は多くの人が老後も働き続けています。内閣府の「令和5年版高齢社会白書」によると、高齢者の就業率は60~64歳で73.0%、65~69歳で50.8%、70~74歳で33.5%です。 定年前の人の中には同じ会社で再雇用を望む人も多いですが、老後は再雇用の場合でも別の会社で再就職の場合でも、現役時代と比べると年収が下がる傾向にあります。 本記事では、老後の年収の傾向を確認したうえで、定年前に検討すべき内容や再雇用と再就職のメリット・デメリットについて解説します。 ▼65歳から70歳まで「月8万円」をアルバイトで稼ぐと、年金はどれだけ増える?
定年後は一般的には収入が下がることが多い
60歳で定年を迎える会社は多いですが、給与所得者の平均年収は50代をピークに、その後は下がっていく傾向にあります。国税庁の「令和4年分民間給与実態統計調査」によると、給与所得者の平均年収(男女計)は55~59歳が最も高く、546万円です。 しかし、その後の平均年収は60~64歳で441万円、65~69歳で342万円と下がっていきます。55~59歳の平均年収と比べると、60~64歳は約81%、65~69歳は63%程度にまで下がります。 また、リクルートの「シニア層の就業実態・意識調査2023(―個人編60~74歳―)」では、定年後に定年前と同じ会社に再雇用された人に対し、定年前後で給与がどれくらい変化したのかをアンケートで調査しています。定年前の給料を100とした際に、最も多かったのは「50~75%未満」で43.3%、続いて「25~50%未満」が21.4%、「75~100%未満」が16.3%と続きます。 これらの調査から、定年後は一般的には年収が下がることが多いといえるでしょう。
定年前に検討すべきこと
定年後、現役時代と比べて収入が大きく減ってしまう可能性があります。定年後の人生も長いため、ゆとりのある老後を過ごすためには、定年前に検討すべきことも少なくありません。 代表的なポイントについて確認していきましょう。 ■定年後の生活費を計算する まずは現状の生活費をもとに、定年後の生活費がいくらになるのかを計算します。住宅ローンが終わるなら住居費を下げる、持病があり医療費が高くなりそうなら多めに見積もる、子どもが独立するなら教育費を下げるなど、ある程度見えている項目を織り込みましょう。 ■退職金含め、貯蓄を再確認する 続いて、退職金を含めた貯蓄がどれくらいあるのかを再確認します。貯蓄を算出する際には、預貯金はもちろん、株式や投資信託、貯蓄性の保険など、今まであまり日常的には金額の詳細を管理していなかったようなものも忘れずに計算しましょう。 ■年金はいくらもらえるのか再確認する 年金は基本的には65歳以降、生涯にわたって受け取れます。そして、50歳以降は「ねんきん定期便」にて、65歳からもらえる年金の「見込額」が記載されています。改めて、年金がいくらもらえるのかを確認してみましょう。 ■定年後にいくら稼げばいいのか計算する 定年後に必要なお金と、現在の貯蓄と年金見込額がわかれば、定年後に稼ぐ必要があるのか、その場合にはいくら稼げばいいのかも見えてきます。貯蓄のみでは定年後に必要なお金を賄えなさそうであれば、定年後も就労することを検討する必要があります。自身が送りたい老後の生活をするためには、実際いくら稼げばよいのか、具体的な収入額を計算しましょう。