西野監督退任決定もハリル教訓でクリンスマン反対論が浮上し後任監督が混迷
W杯ロシア大会でチームを2大会ぶりとなるベスト16へ進出させ日本中に感動を与えた西野朗監督(63)が7月末の契約満了をもって退任することが明らかになった。成田空港近くのホテルで行われた帰国会見で日本サッカー協会の田嶋幸三会長(60)が明言したもの。次期監督としては、元ドイツ代表監督のユルゲン・クリンスマン氏(53)の名前が挙がっているが、協会内では、ヴァヒド・ハリルホジッチ監督を電撃解任した教訓から、Jリーグ監督経験などがなく、日本サッカーや日本文化に不案内な外国人監督に任すべきではない、との反対論があり、後任監督人事は混迷することになった。 田嶋会長は、「早い時期に決めたい」と20日の技術委員会で内定させ、26日のサッカー協会理事会での承認という流れに後任監督を乗せたい考えだが、そもそも今大会の総括がまだ行われていない。その総括をした上で、今後の日本が進むべきサッカーに必要な監督の条件、コンセプトを打ち出し、それを満たす指導者をリストアップして議論していく必要があるだろう。 田嶋会長は、帰国会見の代表質問で、現状の監督問題の進展を聞かれ「まだ白紙の状態。技術委員会でしっかりと話をしていただいた上で早い時期に決めたい」としていたが、司会者が、会見の締めに田嶋会長、西野監督に、それぞれ一言ずつ最後の挨拶を求めた際に、突然、西野監督の退任を発表した。 「西野さんとは、終わったあと、長い時間話すことができました。先ほど(話が)ありましたように、7月末で任期が満了することになります。西野さんとは、もう40年以上の付き合いで、僕が、この監督の任を西野さんにお願いするときに、西野さんの方から(受諾の条件として)あったのは、結果がどうであれこの大会で終わるからということを約束しました。その約束は、しっかりと僕は守りたいと思っています。ですから慰留することはしませんでした。この7月末をもって日本代表の監督を終了することになりますが、また違った形で日本サッカーに貢献しサポートしていただければと思っています」 今大会限りーーが、ハリルホジッチ監督の電撃解任決定後、緊急登板を引き受ける際に、西野監督から出された受諾条件だったという。 それでも今大会の23人のメンバーの選び方、チームコンディショニング、ポーランド戦での決勝トーナメントを見据えたスタメン6人替えなど、グループリーグ・トータルでの戦略、試合ごとの戦術、選手交代、選手とのコミュニケーションなど、西野監督の手腕は素晴らしかった。 「人もボールも動かす」という日本らしさをアピールした戦い方を評価するならば、たとえ今大会限りの約束があろうと、再契約のオファーがあっても不思議ではなかった。