佐野勇斗、“山場”だらけの2024年で得た学び 「あと一歩イケるかな」を貫いた信念
『おむすび』で念願のNHK連続テレビ小説出演を果たした佐野勇斗。高校球児から社会人へと成長していく四ツ木翔也役に挑むにあたり、生まれて初めての丸刈り姿も話題を呼んだ。役作りでは、野球のフォームを改善しながら投球スピードを上げることに苦心し、年齢による演技の変化にも細かな工夫を重ねた。プライベートでは日記をつける習慣があり、翔也との共通点も多いという。2024年、グループ活動とドラマ、バラエティと多忙を極めながらも、常に感謝の気持ちを忘れず、限界に挑戦し続けた充実の1年だったと振り返る佐野。「人間やればできるもの」という言葉には、夢を叶えるための努力を惜しまない彼の信念が表れている。(編集部) 【写真】翔也とは雰囲気一変! 佐野勇斗インタビュー撮り下ろしカット(全9枚)
橋本環奈は「すごく思いやりがある子」
――本作への出演が決まった際、M!LKのメンバーや、朝ドラの先輩でもある目黒蓮さんとは何かお話しましたか? 佐野勇斗(以下、佐野):(山中)柔太朗とは車でよく一緒に帰っていたので、そのときに「朝ドラ決まったんだよね」「マジ? おめでとう」みたいな話をした気がしますけど、他のメンバーには「面と向かって話したっけ?」という感じです(笑)。でも、めめ(目黒蓮)には撮影に入る前に連絡して、「頑張ってね」と言ってもらえたのを覚えています。たしか『トリリオンゲーム』(TBS系)の頃だったかな。ちゃんと報告しておかなきゃと思って伝えました。 ――今回は高校球児役を演じるということで、丸刈り姿も話題になりました。 佐野:生まれてこのかた髪の毛をここまで短くしたことがなかったので、すごく勇気がいりました。ずっと夢だった朝ドラということで決意して、周りからは「意外と似合ってるね」「モンチッチに似てるね」という2つの声をいただきました(笑)。今回、全部じゃないですが自分で髪を剃ったんですよ。ちょっと絶望しながら剃ったんですけど、「意外と悪くないな」という印象でした。 ――野球選手を演じる上での役作りは? 佐野:僕は嘘をつけないので正直に言いますが、初めから球速は110キロ投げられたんです。でも、そこから1キロ、2キロ上げるのが本当に難しくて。これは監督にも黙っていてほしいんですけど(笑)、体重を増やさないとなかなかスピードが上がらないんですよね。翔也は高校球児なので体重を増やすなと言われていたけれど、こっそり5、6キロ増量して。フォームも直していただいて、2、3カ月で119キロまで投げられるようになりました。 ――翔也を演じる上で、どんなことに気をつけていますか? 佐野:朝ドラ特有というか、1年くらいの間で高校生から大人までを演じ分けなきゃいけなくて、それは初めての経験でした。学生時代は落ち着きのない感じがあったり、(年齢ごとに)声色、喋るスピード、それから表情も意識して演じるようにしています。結(橋本環奈)と出会うシーンでは、ちょっとカッコつけちゃう節があったりして、僕の中では『となりのトトロ』の勘太をイメージしていました。 ――ご自身と翔也が似ている部分や、違うと感じる部分は? 佐野:いろいろな役をやらせてもらう中で、よりリアルに見せるために自分と似ている部分を探したりもするんですよね。でも、翔也は本当に似ているところが多くて、ほぼ自分なんじゃないかなと思うくらいです(笑)。考えていることもそうだし、日記を書いていたりとか。なので違うところを探すのが難しいんですけど、1つあるとすれば、僕はたぶんあんなに長い期間、結のことを「米田結」とは呼ばないです(笑)。 ――(笑)。佐野さんが日記を書き始めたきっかけは? 佐野:僕は節目ごとに人生設計をしていて、20、21歳くらいのときに、自分の思うような結果が出ていないことに絶望したというか。「全然いけないじゃん!」と自信を打ち砕かれた時期があって、もっと頑張らなきゃダメだなと思ったんです。そのときに、人生で一番頑張っていたのはいつだろうと考えて、高校3年生のときに大学受験で周りの人に心配されるくらい勉強を頑張っていたのを思い出して。その頃やっていたことをやれば頑張れるんじゃないかなと思ったときに、ふと浮かんだのが日記でした。当時は毎日日記を書いて、“やることのリスト化”を1年くらい続けていたんです。一度はやめてしまったけど、それをきっかけにまた書き始めて、そのまま習慣になりました。 ――書くことで、夢や目標に対する気持ちが強くなる? 佐野:「頑張ろう」「こうしよう」と思っても、結局1カ月後くらいにはその気持ちが弱まっていたり、忘れてたりすることってあるじゃないですか。なので、その対策をしたいなと思って、「今日は(夢であるM!LKで)ドームツアーをする人の行動ができたか」と、毎晩絶対に振り返るようにしています。 ――ちなみに、この朝ドラに関して日記に書いたことで印象に残っていることはありますか? 佐野:(橋本)環奈のことは、「本当にこの子はすごい」とよく書いています。人間性に関して、学ぶべきことがたくさんある。ありのままで取り繕っていないし、人に対して、すごく思いやりがある子なんだなと感じています。 ――翔也は高校野球、社会人野球と頑張ってきて、結局は野球人生を諦めることになりますが、この流れについて率直にどう思われましたか? 佐野:すごくリアルでいいなと思いました。ドラマや映画だと「頑張って、もがいて、目標が達成できて、やったね!」という展開になるイメージが強いので、そこをそう描かないのがリアルですよね。努力しても夢が必ず叶うわけではないし、成功は保証されていない。それでも翔也は努力したことによって成長していて、その生きざまが描かれているのが、この作品の魅力のひとつなのかなと思っています。