【マンガでわかる知識創造】創造と蓄積をどう繰り返す? 知識創造理論の中心「SECIモデル」とは?
AIの普及により、多くの人間の仕事が取って代わられることが懸念され、近年は「ChatGPT」の登場で生成AIが脚光を浴びている。しかし、AIには「新しい知識(ナレッジ)を創り出すこと=知識創造」はできない。これができるのは人間だけだ。生身の身体を持ち、五感を使って経験から意識的に学べるからこそ、人間には知識創造が可能であり、生成AI隆盛の時代だからこそ、知識創造はビジネスパーソンの重要なスキルとなる。本連載では、『マンガでやさしくわかる知識創造』(西原〈廣瀬〉文乃著/藤沢涼生作画/日本能率協会マネジメントセンター)から内容の一部を抜粋・再編集。誰もがすぐに実践できる知識創造の考え方についてマンガを交えながら紹介する。 SECIモデルにおける知識のタイプと関係性の変化 第7回は、知識創造理論の中心となるSECIモデルについて深掘りする。 ■ SECIモデル ■SECIモデルの4つのフェーズ 知識創造理論の中心となるモデルがSECI(セキ)モデルです。ムラサメ君がつくね職人のたとえでわかりやすく説明してくれていました。また、SECIモデルも紙ナプキンに描いてくれていましたね。 ですので、ここでは野中先生と竹内先生が2020年に出版された『ワイズカンパニー』(日本語版は黒輪篤嗣(くろわあつし)訳、東洋経済新報社)に示された、より精緻化されたSECIモデルを紹介したいと思います。 SECIモデルには、知識のタイプの変化と知識を創造する関係性の変化の2つがあります。整理すると下の図のようになります。 これをモデルで表すと下の図のようになります。知識のタイプの変化を外側の矢印で、知識を創造する関係性の変化を4つのフェーズに描かれた円で示しています。 ここで1つ補足したいのは、すべてのフェーズに破線の円で環境(E)が示されている点です。前述したように、知識は人と人だけでなく、人と環境との相互作用で創られることを示しています。