昨季「38年ぶり日本一」今季「リーグ2位」でも阪神・岡田監督“退任”のナゾ…「別になにもないよ」のウラにある事情とは
なぜ2年間だったのか
金本知憲氏の監督退任(2018年)や、スター選手だった鳥谷敬氏の退団(2019年)など、阪神はチーム功労者がタテジマを脱ぐ際、騒動に発展することが多い。優勝を逃がしたとはいえ、甲子園球場に300万人を動員した岡田監督が「なぜ辞めることになったのか」、きちんと説明されていないことを不満に思うのは、関係者だけでなくファンも同じだろう。 「2年前の監督就任会見では『契約任期』が明確にされず、スポーツ新聞1社だけが『2年契約』と報じました。契約が満了となっても、23年、24年の成績と人気を考えれば、続投の話が一度も出なかったのか、疑問です」(前出・同) 9月27日に東京都内で開かれたオーナー会議でのことだ。終了後、阪神・杉山健博オーナーが記者団に帰路を塞がれ、岡田監督の進退を質問された。 「今日、皆さま方にお話しすること、あるいは、お話しできることは何もございません」 杉山オーナーはそう答えたが、プロ野球報道の現場において「否定も肯定もしない」のは、「辞める」の暗示とも解釈される。とくに阪神はその傾向が強く、久万俊二郎オーナーのいた2000年代は、監督人事について聞かれると、否定・肯定どちらにも取られないように、「白紙です」の言葉が使われていたそうだ。 杉山オーナーの対応を受けて、岡田監督の退任を“確信”したメディアも少なくなかったそうだが、こんな声も聞かれた。 「スポーツメディアによる退任の一報が出たのは10月3日で、阪神の今季最終戦となるナイトゲームが始まる前でした。ペナントレース最終戦に合わせたのかもしれませんが、この後、阪神はクライマックスシリーズを戦います。日本シリーズに進出する可能性も残されており、チームに与える影響は計り知れません。クライマックスで対戦するチームの意向も絡んでいるのではないかと勘繰る向きもあります」(NPB関係者) 思い出されるのが、岡田監督誕生の経緯だ。22年のシーズン終盤、阪神球団は矢野燿大監督(当時)の後任候補の絞り込みを終えていたが、阪急阪神ホールディングスの角和夫代表取締役会長兼グループCEOがそれを却下し、岡田監督の再登板を強く推してきた。 「角CEOを始めとする旧阪急グループ出身者は、タイガースのことには口を挟まないとする暗黙のルールもできていました。でも、長く優勝から遠ざかっており、タイガースが勝つことによる関西への影響力の大きさも考えて、岡田監督の再登板だけは角CEO主導で進められました」(前出・在阪記者) さらに、角CEOは事あるたびに「タイガースへの関与は異例」と語っていたが、その後、「タイガースのことでイニシアチブを握るのは2年間だけ」と、関係者に改めて伝える席上に第三者も立ち合わせていたという。つまり、「2年だけ」の約束は絶対に守り、その証人もつけたのである。今のタイガースには岡田監督を退任させる理由は見当たらない。ということは、監督自身もこの流れに身を任せただけなのかもしれない。