〈初週82万本売上〉リメイク版『ドラクエ3』は空前の大ヒットを記録! …それでも否定的なファンが後を絶たない“納得の理由”とは
2024年11月14日、HD-2D版『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』(以下、HD-2D版『ドラクエ3』と表記)が発売された。本作は1988年に発売された同名タイトルのリメイク版で、日本国内ではスマッシュヒットを記録している。 【写真】この記事の写真を見る(10枚) 評価は上々で、世界のレビューを集積するサイト MetacriticではPS5版が84点 を記録(記事執筆時点)。PCゲーム販売プラットフォームのSteamでも売上上位に入るほか、 ピーク時の同時接続者数は4万5357人 を記録した。 売上も見事である。 ファミ通.com によると、日本国内のパッケージ版の初週本数は約82万本と大ヒットだ。
他の有名作品と比較しても頭一つ抜けた売上
直近のスクウェア・エニックスのリメイク作品と比較すると、『ファイナルファンタジーVII リバース』が約26万本、『ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン』が約11万本と、飛び抜けた記録になっている(どちらもファミ通集計の国内初週販売本数)。 現在はDL版も普及しているため、HD-2D版『ドラクエ3』は日本国内だけでも100万本を軽く越えているだろう。本作を楽しんでいる人の声もたくさん聞こえてくる。 一方、ユーザーのすべてが満足しているかというと微妙なところである。 Steamのユーザーレビューは「賛否両論」 に留まっているし(記事執筆時点)、不満を口にする人もしばしば見るからだ。 なぜ、ここまで大ヒットになっているHD-2D版『ドラクエ3』に不満を持つ人が出るのか? 要因のひとつは、「ドラゴンクエスト」(以下、「ドラクエ」と表記)シリーズのあり方が変化しつつあるからではないか。
「ドラクエ」がヒット作になった理由
「ドラクエ」シリーズは“日本の国民的RPG”といっても過言ではないだろう。 1986年に初代が発売されてから徐々に人気を獲得し、ファミコンの『ドラクエ3』ではいよいよ社会現象になった。発売日にはゲームショップに行列ができ、ニュースになっていたようだ(念のため説明すると、昔は物理媒体を買うのが基本だったので店に行く必要があったうえ、ゲーム専門のショップがたくさんあった)。 「ドラクエ」シリーズの功績は、日本にコンピュータRPGを広めた点といえよう。『ウルティマ』や『ウィザードリィ』から多大な影響を受けているのだが、それを知らずとも楽しめたのが重要だった。RPGといえば、いまやコンピュータ(ゲーム機)で遊ぶのが当たり前だが、その元祖はテーブルトークRPG(卓上で遊ぶボードゲームのようなRPG)だとされている。「ドラクエ」はそれまでの海外のRPGの文脈を知らずとも楽しめる作品に仕上げ、雑誌上で大きく宣伝し、日本に広めたわけだ。 もちろん「ドラクエ」シリーズはいまも人気があるのだが、昔と今ではゲーム業界も大きく様代わりしている。 日本のRPGが黄金期を迎えていたころは、北米やヨーロッパの作品に注目するゲーマーも多くはなかった。「洋ゲー」などという言葉があったように、日本のゲームが中心にあって、周縁に海外のゲームもあるという認識だったといえる。 もちろん現在も日本はゲーム業界にとって重要な地域だし、有名な開発会社が多数ある。とはいえ、北米やヨーロッパで作られたゲームは、いまや人気の大作タイトルとして日本国内でも当たり前に受け入れられるようになった。あるいはいままでゲームと縁遠かった国もスマートフォンの普及でゲーマーが増えたりと、海外市場が非常に大きな存在になっている。