NISA拡充などの後押しもあり株や投資信託での資産運用が“当たり前”に! 日本が米国や英国のような“投資信託”大国になる日も近い!【投資信託の最前線】
●個人資産の内訳で「現金・預金」の 割合が年を追うごとに低下傾向 金融機関や法人、家計といった各部門の金融資産の動きをまとめた「資金循環統計」で、6月末時点の家計金融資産(個人資産)の残高が2211兆6511億円と前四半期比1.2%増加に。初めて2200兆円を突破したことが話題となりました。4~6月は、好調な株式相場と円安外貨高のトレンドが継続し、過去最高の残高を更新したのは6四半期連続となりました。 拡大を続ける個人資産の内訳を見ると、引続きその半分強(51.0%)を占めているのは、「現金・預金」です。ただし、現金・預金の比率は2022年末で54.8%、2023年末は52.6%だったので、その比率は大きく低下傾向。現金・預金の残高は、ここ2~3年で大きく伸びておらず、物価高(インフレ)と低金利環境の中でその魅力は低いままのようです。 ●個人資産の残高の拡大は 「株」や「投資信託」などリスク資産の増加がけん引! 「現金・預金」の比率が減っている一方で、残高の増加が目立つのが、「投資信託」や「株式」といったリスク資産です。個人が保有する投資信託の残高は2022年末時点では87兆円と100兆円に届いていませんでしたが、2023年末に107兆円、2024年6月に128兆円と急拡大しています。また、株式も2022年末から順に124兆円、158兆円、180兆円と大きく増加しています。個人資産の残高拡大は、こうしたリスク資産がけん引したと言ってよいでしょう。 過去に遡ってみても、インフレや株高・円安外貨高が続くという期待が高まると、リスク資産を保有してこなかったいわゆる投資初心者が、投資信託を活用して資産運用を始める傾向がありました。これに加えて、2019年に公表された金融審議会の報告書によって話題となった「老後2000万円問題」や、NISA(少額投資非課税制度)の拡充などによって、資産形成の動きが加速したことも、この数年間の個人資産の残高拡大の大きな要因となっていると考えられます。 ●個人の投資信託の残高は過去最高を更新中! 過去の投信ブーム時を超える水準に 下のグラフは、個人資産における投資信託の残高と全体に占める投資信託の比率の四半期ごとの推移です。 最新の6月末時点の投資信託の比率は5.8%にまで上昇してきました。残高が過去最高を更新しているのももちろんのことですが、投信ブームと言われた2007年にも、アベノミクス後の2014年にも届かなかった投資信託の比率5%を大きく突破しています。 投資信託が個人資産における存在感を高め、米国や英国といった投信大国に近づきつつあることを示すものと言えるでしょう。 藤原延介(ふじわら・のぶゆき) 1998年三菱信託銀⾏(現三菱UFJ信託銀行)⼊社後、2001年ロイター・ジャパン(リッパー・ジャパン)、2007年ドイチェ・アセット・マネジメント、2019年アムンディ・ジャパンを経て、2021年にBNPパリバ・アセットマネジメントに入社。投信営業本部マーケティンググループ 部長。ドイチェAMでは資産運用研究所長を務めるなど、約25年に渡り資産運用や投資信託に関するリサーチや投資啓蒙に従事。慶応⼤学経済学部卒。
藤原延介
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