米国の若者に「ズイン」が大人気…急成長のニコチン・パウチに懸念が集まる理由(シェリーめぐみ)
【ニューヨークからお届けします】 アメリカでは今、ベープと呼ばれる電子タバコに代わって、ニコチン入りのパウチが熱い注目を集めています。しかし同時にその安全性と依存性に対する懸念も高まり、大論争となっています。 コーヒーが禁煙を成功に導く? 神経生理学の専門誌で発表 TikTokを開くと、若者たちが「ZYN(ズイン)」を楽しむ映像がどんどん流れてきます。日本のガムのようなカラフルな丸い缶を開けると、中にはやはり大きめのガムに似た形の、小さな白いパウチが入っています。それを唇と歯茎の間に入れると、中に入っているニコチンが滲み出して、タバコを吸った時のような刺激が得られるといいます。 ズインが広まった理由の1つはSNS上のインフルエンサーですが、特に保守派でトランプ支持で知られるジャーナリスト、タッカー・カールソンがテレビ番組で、「ズインは仕事の効率を高め、男の機能も上げてくれる」と発言したことが大きいと言われています。 おかげで、ミントからシトラスまでのさまざまな味のズインは、店によっては品切れになるほどの人気です。そのため発売元のフィリップ・モリス社では、新たな工場の建設も計画しています。 同社では「この製品はタバコと同様21歳以上の大人を対象にしたもの」とコメントしていますが、規制は緩く、実際には多くの中高生も使用している事が懸念されています。特にタバコやベープと違い、たとえ学校の授業中でも口に入れてしまえばわからないことも、不安を助長しています。 アメリカではパンデミック前に高校生の間で電子タバコが大流行しましたが、政府の強い規制もあって、使用は減少傾向です。しかしそれに代わりズインが広まることを大人たちは警戒しています。 専門家は「ズインは、タバコの煙に含まれるがんを引き起こす有害物質などを含まないため、喫煙よりも健康リスクが著しく低いことは確か。しかしパウチに含まれるニコチンは中毒性が高く、心血管疾患リスクを高める可能性がある。若い世代は使用すべきでない」と警告しています。 (シェリーめぐみ/ジャーナリスト、ミレニアル・Z世代評論家)