肥満抑制のため「ジャンクフード広告の禁止」を検討中 英リバプール
英イングランドの大都市リバプールで、ジャンクフードの広告禁止が検討されている。市議会議員らは、看板などにジャンクフードの広告が表示されないようにすることで、健康上の大きな懸念事項である肥満の抑制につながることを期待している。 伝説のバンド、ビートルズを生んだ街として最も知られているリバプールは、イングランドで4番目に人口が多い。また貧困層が多い街でもある。人口の3分の2近くが英国内で最も恵まれない地域に住んでおり、市内の子どものほぼ3分の1が貧困にあえいでいる。 肥満は貧困に関連する健康問題の1つで、イングランドで最も貧しい地域に住む人々は、裕福な人々よりも肥満になりやすい。 リバプールでジャンクフードの広告禁止が導入されれば、この規模の都市としてはイングランドでは初の試みとなる。ヨークのような小さな都市では、すでに公営の広告スペースでのジャンクフードの広告を禁止している。 この種の広告は2019年にロンドンの交通機関でも禁止された。だが他の公営の広告スペースではまだ続いている。 肥満はイングランド全域で大きな問題となっており、成人の28%近くが肥満で、さらに37.9%が過体重だ。リバプールでもほぼ同様で、成人の約63%が肥満または過体重だ。 英BBCテレビの地域のニュースを扱うローカル・デモクラシー・リポーティング・サービスによると、リバプールに住む子どもの4分の1は就学時にすでに肥満か過体重だという。11歳の子どもではその割合は3分の1に増える。 太りすぎは公衆衛生当局にとって重大な懸念事項だ。心臓病や2型糖尿病、脳卒中、罹患率の高いがんなど、多くの深刻な健康問題のリスクを高める。 現在の傾向が続けば、これらの疾患を患う人が急増するとリバプールの議員らは予想している。市議会が1月に発表した報告書によると、2040年までに高血圧の人は2万300人増の9万9600人に、糖尿病の患者は1万4800人増の4万6900人に達する可能性がある。 深刻な健康問題の中には、生活習慣とは無関係の1型糖尿病も含まれる。だが、大部分は2型糖尿病だ。 ジャンクフードの広告規制と肥満の減少の関連性を示す科学的研究は長年行われてきた。2008年に行われた小児肥満とテレビ広告に関する研究では、子ども向けのジャンクフード広告を禁止することで、米国では肥満が最大18%減少すると推定した。 英国全土でジャンクフードの広告を制限しようとする取り組みは、歴代の政権下では進まなかった。だが現在与党である労働党は以前、子ども向けのジャンクフード広告を禁止することに言及している。 リバプールで提案されている広告禁止の対象はより広範にわたることになりそうだ。子ども向けかどうかに関係なく、砂糖や脂肪、塩分を多く含む食べ物や飲み物の広告が公営の広告スペースから排除されるかもしれない。 リバプール市・地域の最北部に位置するセフトン地区の議会は今年初め、同様の禁止案を可決した。リバプール市全域で広告を禁止するには、市議会が案を可決する必要がある。可決されれば、すぐさま実施されると思われる。
Katherine Hignett