保育政策「量」から「質」へ 28年度見据え、新たな方向へ
こども家庭庁は12月20日、2025年度から28年度末を見据えた保育政策の新たな方向性を発表した。待機児童の大幅な減少や少子化を踏まえ、待機児童対策を中心とした保育の「量」拡大から、地域のニーズに応じた「質」の高い保育の確保・充実へと政策の軸を大きく転換する。受け皿整備の数値目標は25年度以降設けない。施設整備にかかる財政支援は、保育の将来像も踏まえた自治体の計画に基づいて実施していく方針だ。 待機児童解消に向け、国は受け皿整備の数値目標を示すプラン(計画)に基づいて対策を進めてきた。昨年4月1日時点の待機児童数は2567人まで減り、近年のピークだった17年(2万6081人)の10分の1以下となっている。 待機児童対策を柱とした現行の「新子育て安心プラン(新プラン)」の計画期間が本年度までとなっており、同庁は新プラン後の保育提供体制について、新たなビジョンを検討していた。 同庁が示した今後の保育の方向性では、(1)地域のニーズに対応した質の高い保育の確保・充実(2)すべてのこどもの育ちと子育て家庭を支援する取り組みの推進(3)保育人材の確保、テクノロジー活用による業務改善――の三つの柱を軸に保育の質向上を図る。 人口減少が進む地域では統廃合、規模の縮小、多機能化などの計画的な取り組みを促進するとしている。障害児、医療的ケア児の保育所での受け入れ強化▽こども誰でも通園制度▽保育士の処遇、配置基準改善▽DX(デジタルトランスフォーメーション)による業務改善――なども進める。 待機児童対策については、保育士不足で園児の受け入れができない、利用調整がうまく進まないなど地域ごとの課題に応じたきめ細やかな対策を講じていくとした。 三原じゅん子こども政策担当大臣はこの日の記者会見で、「今回取りまとめた新たな方向性について、自治体や保育所などと認識を共有し、緊密に連携して取り組みを強力に進めていく」と述べた。