「論破」と「マウンティング」から離れて...大学生との対話で得た気付き
冒頭とは別の場で大学生の前で話をしたとき、驚かされたのが、「原稿を依頼する執筆者はどんな基準で選んでいるのか」「特集内の記事の並び順はどう決めているか」「タイトルを考えるときには何を意識しているのか」などの鋭い質問が相次いだことだ。 私自身、一編集者として心構えについてあらためて見直す機会となった。 ちょうどその直後に『アステイオン』の創刊100号を読んだからか、どうしても意識させられたのが、初代編集長である粕谷一希の存在感だった。 創刊号の編集後記で「今日のジャーナリズムの荒廃」への憂慮を記した粕谷は、「野心的新人」と「野心的テーマ」を発見しようとし続けたという。安定が好まれる現代社会にあって、「野心」とは何とも魅力的で、知的ジャーナリズムや論壇誌の未来を照らす言葉ではないだろうか。 水島隆介(Ryusuke Mizushima) 月刊誌『Voice』編集長。1985年、神奈川県生まれ。2008年、早稲田大学第一文学部卒業。同年、PHP研究所入社。「歴史街道」編集部を経て、2018年1月より『Voice』編集部。2020年1月より現職。
水島隆介(月刊誌『Voice』編集長)