今日パラグアイ戦…森保ジャパンはW杯へ向け何を試すべきか?
しかし、今年に入ってセットプレー担当コーチを入閣させながら、直接フリーキックだけでなく左右のコーナーキックからもゴールの匂いがいっこうに漂ってこない。強豪国と戦う上で、しっかりと守ってからのセットプレーが極めて重要になる世界的な傾向を踏まえれば、カタール大会を戦うための道標に間違いなく加えられる。 その意味でもアジア最終予選でセットプレーのキッカーを務めた田中や、コーナーキックを担った伊東との呼吸を、実戦の場で高めていく作業も欠かせなくなる。 吉田があえて「道標」という言葉を使ったのは4年前のロシア大会、それもベルギー代表との決勝トーナメント1回戦の反省に立ったからだった。後半早々に2点のリードを奪い、悲願のベスト8が見えてきた直後からベルギーの猛攻を浴び続け、後半アディショナルタイムに逆転ゴールを喫して涙した一戦だ。 「守って、守っての試合で非常に苦しかった。だからこそ道標を持っておきたい」 11月に開幕するカタール大会へ向けて、出場国に与えられる準備期間は今回と9月の国際Aマッチデー期間しかない。この間に組める強化マッチは最大6試合。従来の大会では設けられてきた、開幕直前のキャンプを実施できる時間も余裕もない。 アジア最終予選で得た成果を伸ばし、課題を解消しながらカタールの地へ乗り込むまでの青写真を、森保監督はパラグアイ戦の前日会見でこう語った。 「守から攻へ素早く切り替えて、得点する精度をより高めていく上でスピードのある攻撃をしていきたい。守備に関しては世界との戦いを考えると、これまでの守備によりメリハリを持たせる。前から行くときとブロックを作って構えて、そこからチームとして相手を破っていく点で、アジアから世界の戦いに切り替えていかないといけない」 出場機会に飢えている選手たちを数多く、それも先発でパラグアイ戦のピッチに送り出せば、連携などが中途半端なまま個々のアピール合戦になって無駄にしかねない。限られた時間と実戦のなかで、カタール大会を戦う道標を新たに手に入れられるか。森保監督のチームマネジメント力が、4試合を戦う6月シリーズで再び問われてくる。 (文責・藤江直人/スポーツライター