加齢により萎縮していく脳を若く保つための『6つの習慣』バランスのいい食事、十分な睡眠、継続的な運動…そして一番大切なことは
◆受動より能動、一人より仲間と では具体的に、どんな趣味がいいのでしょうか。ご自身が楽しむことができればどんな趣味でもいいのですが、脳にとってより良いのは受動的なものより能動的なもの。 スポーツならば、観戦だけでなく自分も体を動かす。美術が好きなら、美術館めぐりより絵画や陶芸を習ってみる。ガーデニング、料理、旅行など、自分から何か行動することで楽しめる趣味が、脳の健康維持に役立つといわれます。 運動の項でもおすすめしましたが、有酸素運動や軽い筋トレを趣味として楽しむことで、記憶を司る海馬の神経細胞の新生を促し、記憶力の向上に繋がるという研究結果があります。また、テニスなど仲間と行うスポーツは、コミュニケーションの機会に。勝ち負けのあるスポーツでは、戦略を立てることも脳への刺激になるでしょう。 語学は、言語を司る領域をはじめ脳を大いに活性化します。その国の文化や歴史に興味を持ったり、名物料理のレストランを訪れたり、さらには旅行に出かけるなど好奇心が刺激され、行動の幅が広がるという意味でも非常にいい趣味といえます。 音楽は、脳の欲求にかかわる「報酬系」と呼ばれる領域を刺激し、幸福感やモチベーションを上げる効果が。近年では認知症の予防や進行抑制に活用されています。 私はピアノが趣味なのですが、楽器演奏は手指を動かすことが脳への刺激になるだけでなく、楽譜を理解して弾くのは実行機能、曲を奏でるという創造性が前頭葉の働きを高めるなど、いいこと尽くめです。 近年の研究の一つに、「趣味と回想(ノスタルジー)が脳に与える効果」があります。たとえば若い頃に好きだった曲を、友だちとカラオケで歌う。夫婦の思い出の場所へ旅行する。昔の趣味を再開する。そうして「楽しかったあの頃」を懐かしみ、主観的幸福度を高めることが、脳を活性化するのです。 新たな趣味に挑戦するのは、ストレスもそれなりにかかるもの。気軽に始めて、面白そうなら続ける、合わないと思えばやめる。三日坊主でも構わないので、まずはいろいろと試して、自分に合った趣味を見つけてはいかがでしょうか。 (構成=山田真理)
瀧靖之