「優しい主人公になれる」自分をサブキャラだと思う人へ、ドラクエ生みの親が送る言葉
「失敗してもいいや!」レベルアップして再挑戦
――『ドラゴンエスト』ではしばしば、「はい」か「いいえ」かという、二択の決断をすることがあります。人生においてもそういった決断の瞬間はあると思うのですが、どうやって選択肢を選んでいけばいいと思われますか。 実は、僕自身わりと色々悩むタイプなんですよ。だから色んな迷いがあったりして、どっちを選ぶか悩んで、決めるのに時間もかかってしまうんです。反省です。 ただ、人生においては、二者択一的な決断って意外と少ないような気がするんですね。選択肢はもっと無数に広がっていて、僕たちはいつも「どうしようかな~?どうしようかな~?」とぼんやり模索している。だから、大事なのは 「自分が何を決断しようとしているのかを明確にする」ということだと思います。ぼんやりとしたものを明確にしていき、色んなものを削ぎ落としていく。そうして「これとこれ、どっちだろ?」みたいな選択肢をまずハッキリさせて、それでも答えが出ないなら、最後はもう直感で「えいや!」と決めちゃうのもいいんじゃないかと。 あとは、「失敗してもいいや!」くらいに思うことも大事で、やり直しもいっぱいしていいと思います。例えばドラクエでいうと、もし負けたとしても、レベルアップしてまた挑戦してっていうのを繰り返していけますよね。人生も同じように捉えて、困難にぶち当たってたくさん失敗したとしても「経験値が上がったから、次は倒せるようになるかもしれない」って感じてくれるといいなと考えています。 ――ドラクエにおいて、「レベルアップ」という概念はすごく大事ですよね。堀井さん自身が「レベルアップ」したなと感じたのはどんな時なのでしょうか。 そうですね、変な話なんですけど。僕ね、『ドラゴンクエストII』の時に締め切りに追われて、胃潰瘍になっちゃったんですよ。医者に行って胃カメラ飲んだら、「穴開きかけてますよ」って言われました。それほど追い詰められてたんですね。でも、ドラクエが完成した後に病院に行ったら「もう治ってますよ」と診断されて。その時に「締め切りって、そんなに守んなくていいかな」って思ったことがあって(笑)。あんまり自分を追い込まない方がいいような気がしますね。そういう余裕も、ある種のレベルアップだと思います。