ファンサービスで中日松坂を襲った最悪悲劇を繰り返さないための手段はあるのか?
中日の北谷キャンプでは明確なサイン場所が確保されていない。球場のメインの出入り口が柵で仕切られており、そこでサインに応じているが、サインスペースというわけではなく余裕がない。 メイン球場、サブ球場、陸上トラック、室内練習場などの移動時にも接触が可能で、中日も混乱を避け、選手の安全を確保するために球団は警備員を配置している。そういう事情を察してか、松坂は、わざわざ机を用意して、キャンプ中に2度も即席サイン会を実施して長蛇の列ができた。だが、その思いも踏みにじられることになった。 「勝利時の選手ハイタッチ」のファンサービスを昔から行ってきた西武では、昨年7月31日のソフトバンク戦後に悪質なファンが、山川穂高が首から下げていたタオルを奪う事件があった。ファンサービスが進む一方で接触機会が増えるほど危険が潜んでいることも事実だ。 では松坂の悲劇を繰り返さないためには、どうすればいいのか。 一部のファンの声のようにもうサインは禁止にすべきなのか。与田監督は、「今後、他の選手への防止策を用意しなくてはいけないのかなと。だからといってファンの方との接触を一切禁止するということも(難しい)」と複雑な胸中を明らかにした。 西武は、昨年、山川タオル盗難事件後、すぐに公式サイト上で、「ハイタッチは握手ではありませんので、選手の手を握らないでください」「選手の手を掴み引っ張るなどの行為は行わないでください」「選手を引き留める一切の行為はご遠慮ください」「ハイタッチ以外で、選手の体や所持品に触れたり引っ張らないでください」との「勝利時の選手ハイタッチ」におけるルールを発表、その厳守をファンに呼び掛けた。 中日もキャンプでのサイン、選手との接触のルールを決め、公式サイト及び球場の各場所に掲示して、ファンへ厳守を呼び掛けモラルを喚起することは一つの手段だろう。そして、次の処置が、選手とのサイン機会や、場所を特別に設けて、それ以外での選手との接触、サインを一切禁止するという最終手段になる。 元千葉ロッテでユニークな評論が評判の里崎智也氏は「肩に不安のある松坂が今回の問題をきっかけに引退にでも追い込まれたら一体、誰が責任を取るのか。このような事態を完全に防止するためには、サインや握手などは、もうイベントなどの決まったタイミングだけで行い、それ以外では、ファンとの一切の接触を禁止するしかない。選手の移動導線のすべてを柵で仕切り、距離がある施設内の移動は、車を使うなどすれば、それも可能だ。もし僕が球団トップならば、禁止にするが、ほんの一部の心ないファンの行動で、そこまでの処置をすべきなのかという議論はあるだろう。ファンの良心に訴えるしかない問題だ」という意見。