卒論テーマは推しの「2.5次元ミュージカル」 「感じる心」を数値化する心理学【イマドキの大学ゼミ】
心理学の学びを生かす仕事というとカウンセラーや心理療法を思い浮かべますが、それは心理学の一部にすぎません。昭和女子大学人間社会学部心理学科の池上真平准教授のゼミでは、認知心理学の領域を基本にさまざまな実験を通して、心をデータで捉え、研究で得た結果を社会に生かすことを学んでいます。「心をデータで捉える」とは、いったいどんなことなのでしょうか。 【写真】昔のイメージとは大違い? 女子高生に人気の意外な大学
研究室データ
昭和女子大学人間社会学部心理学科 池上真平ゼミ 研究分野:認知心理学 ゼミ生:19人(2024年4月時点)
趣味から出発したテーマ選び
2024年度で6年目を迎える池上ゼミには、これまでさまざまな興味・関心を持った学生たちが集まりました。研究テーマは、音楽、ダンス、ファッション、アートなど多岐にわたります。ユニークなところでは、お笑いをテーマにした学生もいます。同じネタでも、漫才師の体の角度やツッコミの方向によって面白さが変わってくるのではないか、という仮説を立てて研究を行いました。一見するとテーマはバラバラに見えても、「根底に共通するのは『感性』」と池上真平准教授は言います。 ゼミ生の一人、川村真緒さん(4年)は、趣味の舞台観劇に関する卒業論文を執筆したいという思いから、池上ゼミを志望しました。 「池上先生は認知心理学の領域で主に音楽を研究対象にされているのですが、ゼミ説明会で演劇にも興味があると聞き、私のやりたいことと近いので、充実した研究ができそうだと思いました。池上先生の講義をいくつか受けたことがあり、わかりやすい授業でいい先生だと思っていたことも志望理由の一つです。ゼミは先生と深く関わるものなので、信頼できる先生のもとで研究を進めていけば、自分がやりたいことを実現できると思いました」 川村さんが卒論のテーマに選んだのは、舞台観劇における「見切れ」です。前の席に座る観客の頭部に遮られて起こる「見切れ」が、観劇時の心理にどんな影響を及ぼすのかを、実験を通して検証していくことを計画しています。 「自分自身が観劇しているときに感じていることを観客の視点から探ろうと考えました。私は『テニスの王子様』のミュージカルが大好きで何度も見ています。その際に自分より前に座っている人の頭の陰でよく見えない部分があると、少し残念な気持ちになります。それをテーマにしてみようと思いました」