卒論テーマは推しの「2.5次元ミュージカル」 「感じる心」を数値化する心理学【イマドキの大学ゼミ】
求められるのは主体性
3年次からのゼミは、各自が研究テーマに関連する論文を読み、要約して発表することから始まります。それぞれが疑問点をぶつけ合い、論文を読む力を高めたうえで、研究テーマと向き合い、考えを深めていきます。後期には具体的な研究計画を立て、池上准教授のアドバイスや他のゼミ生からの意見をもとにブラッシュアップし、川村さんは計画を固めました。 「論文の要約や研究計画を発表する機会が定期的にあったことで、考え抜く力と、自分の考えをわかりやすく伝える力が身についたと感じています。迷ったり悩んだりした際も、池上先生は学生の考えを第一に、知りたいことややりたいことを深掘りするように指導してくださるので、心置きなく相談できました。でも、いくら先生がいいアドバイスをくれても、自分が動かなければ計画は進まないし、実験にも至りません。全員共通の課題提出などが少ない分、主体性を持って取り組むことが求められます」 ゼミの先輩から学ぶこともあります。川村さんが池上ゼミで印象に残っているのが、電車の発車メロディーと駆け込み乗車の関係を検証した先輩の実験です。ホームへの階段を上って電車に乗り込む映像に、テンポや短調・長調が異なる発車メロディーがついており、どれだけ気持ちが急かされたか、駆け込み乗車をしたくなったかを評定しました。 「自分の生活に身近で、興味深かったです。先輩方の実験や卒論発表会に参加することで、いろんな実験方法や研究へのアプローチの仕方があることを知りました」 4年になった今年度は、実験を重ねてデータを取り、研究を進めていきます。川村さんは実験で使うために、春休みのうちにさまざまな条件の見切れ映像を試作しました。これから本格的に始まる研究を、将来にどのようにつなげていこうと考えているのでしょうか。 「研究としては何らかの答えや結果を出せたらうれしいですが、自分が今一番気になることという観点からテーマを選んだので、直接的に将来の進路につながるものではないかもしれません。でも、ゼミや研究を通して、自分自身が抱いた疑問を言語化し、一つの研究を組み立てていくことは、社会人になっても生きる力になると思っています」
朝日新聞Thinkキャンパス