ゲーム「刀剣乱舞」10年目、自治体が「どうか終わらないで」と望むワケ
自治体が「終わってほしくない」と望むワケ
自治体が刀剣乱舞の継続を強く望む背景には、明確な経済効果と地域ブランドの向上がある。ゲーム内に登場する刀剣を所蔵する自治体や、その刀剣にゆかりのある地域では、ファンによる「聖地巡礼」が観光の重要な要素となっている。 特に、高額な投資を行い刀剣を購入した自治体にとって、ゲームの継続は投資の正当性を保つ上で不可欠である。サービスが終了すれば、これらの取り組みが無に帰す可能性があるため、自治体が「終わってほしくない」と強く望むのは当然のことである。
「やめたくてもやめられない」? 運営側の事情も
運営元であるDMMとニトロプラスは、当初の想定を超えて10年間の長期運営を続けている。これまでに行われた多くのコラボレーションやイベントは、自治体だけでなく企業やファンとの強固な関係を築いており、簡単にサービスを終了できない状況にある。博報堂らの調査によると、刀剣乱舞の「支出喚起力」は2018年の時点で150億円とされており、その経済的影響力は無視できない。 ユーザー数はPC版リリースから3カ月で登録者数100万人を突破し、1年後にスマホ版がリリースされた。2023年時点でスマホ版だけでも累計ユーザー数が1000万を突破したと発表している。 2.5次元ミュージカルも大人気で、舞台刀剣乱舞は初演からの累計観客動員数が2019年時点で100万人を突破し、そのチケットは即日完売が続くほどの人気だ。 運営にとっても、長期運営に伴うコンテンツの新鮮さの維持や、新規ファン層の開拓など、解決すべき課題も多い。10周年を迎えるにあたって、新キャラクターや新コンテンツの発表が予定されており、こうした打ち手でファン層の維持・拡大を図っている。 刀剣乱舞は、ゲームの枠を超えて地域振興や文化発信に重要な役割を果たしている。そのコンテンツパワーは経済効果やユーザー数といった定量的なデータからも明らかであり、自治体やファンからの継続要望が強いのも頷ける。 筆者自身も、このゲームを通じて刀剣文化への理解を深め、実際に刀剣収集を趣味とするようになった一人である。今後も刀剣乱舞が長く続き、日本の伝統文化と地域活性化に寄与していくことを強く願っている。