「デシグアル」に新風吹き込む若き才能アルフォンス・メトロピエールとは
メトロピエール:自分を表現する上で、サステナビリティは欠かせない。南仏の自然に囲まれた環境で育ち、両親はいつも僕や兄弟に「たくさんの生物の中で生きていることを自覚して、できる限り責任のある暮らし方をしなさい」と教えてくれていたから。僕のコレクションの70%くらいは、LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトンのサステナビリティ・プログラムを通じて提供してもらったデッドストック生地を使っている。ストライプの生地だけの時もあれば、黒の生地だけの時もあるよ。でも今あるものどうやったら面白く新鮮に見せ、美しいものを作れるかを考える作業がすごく楽しいんだ。それから、原料メーカーと協力してシリコンで服を作ったり、廃棄される魚介類の殻からできた生地を使ったり、新しい素材やテクノロジーを積極的に取り入れている。
WWD:影響を受けたデザイナーは?
メトロピエール:サステナブルな方法でファッションを作ると決めた時は、すごく難しい道のりになることは分かっていたからすごく悩んだんだ。当時、サステナブルなデザインを実践している先輩デザイナーも少なかったから。でもその時に背中を押してくれたのが、友人のマリーン・セル(Marine Serre)だった。彼女もブランドを立ち上げたばかりのころで、サステナビリティを大事にする彼女のクリエイションを見て、僕も挑戦しようと思えた。
「デシグアル」の現代的でパンキッシュな精神を表現
WWD:「デシグアル」との出合いについて教えてほしい。
メトロピエール:「デシグアル」のチームからメールで連絡をもらった。当時「デシグアル」はリブランディングに着手したばかりで、古いイメージからの脱却を試みていた。ビジネスが大きくなるにつれ、最初のブランドイメージから離れていってしまったことなど、「デシグアル」のチームがすごく赤裸々に話してくれたんだ。「デシグアル」は強いクリエイションの軸があるからこそ、フランスではすごく好きか、全く興味ないかに分かれるブランド。正直僕も最初のイメージは、ラウド&アグリー(笑)。でも実際に美しいアーカイブをたくさん見せてもらい、とってもコンテポラリーなデザインや生地使いの美しさに魅了された。「デシグアル」は、デニムのアップサイクルブルゾンから始まった。そういうサステナビリティに対する価値観も相まって、強いつながりを感じるようになった。