「デシグアル」に新風吹き込む若き才能アルフォンス・メトロピエールとは
WWD:自身のブランド「メトロピエール」について教えてほしい。
アルフォンス・メトロピエール(以下、メトロピエール):僕にとって「メトロピエール」は、サステナブルな方法で自己表現するラボのようなもの。過去の要素にインスピレーションを得ながら、未来的な表現に落とし込んでいる。例えば、シグネチャーバッグの“マネット"は、細かいハンドステッチなど伝統的なフランスらしい佇まいだけど、形はゲームのコントローラーがモチーフだ。パリのオートクチュールの歴史からサンプリングしたデザインコードを、現代アートやビデオゲーム、テレビ番組といった現代カルチャーと結びつけるのが僕のデザインの特徴かな。「メトロピエール」は僕が生きている時代を表すラボでもあると思っている。だから、「デシグアル」をはじめとしたファッションブランドや、ペインター、ダンサー、彫刻家といったアーティストなど、今の時代を共に生きている人たちとのコラボレーションも大事にしている。
WWD:そもそもファッションの世界を目指したきっかけは?
メトロピエール:小さい頃は調香師を目指していたくらい、香水が好きだった。ある日、祖母の家の近くで「ディオール(DIOR)」の展覧会が開かれた。会場の庭では、メゾンの香水と着想源になった花が展示されていた。僕はその展示に夢中になって、期間中何度もその庭に通っていたんだ。そしたら、展示のスタッフに「会場の中にも入ってごらんよ」と声をかけられた。中に入ると、「ディオール」のオートクチュールの衣装がたくさん展示されていて、あまりの美しさに息を呑んだ。最後のフロアには、ジョン・ガリアーノ(John Galliano)時代の巨大なドレスがあったのを覚えている。あの時が「ファッションを仕事にしたい」と思った瞬間だった。香水が僕をファッションと出合わせてくれたんだ。
友人のマリーン・セルから影響 サステナビリティを貫く
WWD:クリエイションではサステナビリティを重視している。具体的にはどんな工夫を?