「核融合実験炉」最重要機器の構成要素、三菱重工など実機量産へ
三菱重工業と量子科学技術研究開発機構(QST)は、フランス南部で建設中の国際熱核融合実験炉「ITER(イーター)」で使われる受熱機器(ダイバーター)の重要な構成要素「外側垂直ターゲット」の試作品の製作を完了し、実機量産を始める。三菱重工はQSTがイーターに納入する外側垂直ターゲットの製作を担い、2025年度には6基分を納入する計画だ。 【写真】核融合実験炉向けダイバーター「外側垂直ターゲット」 ダイバーターはトカマク型をはじめとする地場閉じ込め方式核融合炉の最重要機器の一つ。核融合反応を安定的に持続させるため、炉心プラズマ中の燃え残った燃料や核融合反応で生成されるヘリウムなどの不純物を排出する役割を担う。 熱負荷は最大で1平方メートル当たり20メガワット(メガは100万)に達する。厳しい環境下で使用されるため、高融点でありながら難削材のタングステンなどの特殊材料が用いられる。 三菱重工とQSTは20年6月から外側垂直ターゲットの試作品製作に取り組み、23年に「外側垂直ターゲットの高熱負荷試験体」がイーター機構による認証試験に合格。今回の試作品製作を通じて得た技術を生かし、実機製作に取り組む。