「今月も厳しい」営業に苦戦する男に響いた“言葉” 2人の先輩から学んだこと・学ばなかったこと
■「売れるようにすること」が仕事 そのとき、ふと以前石元さんと同行した1週間を思い出しました。石元さんは移動中のクルマのなかで、朝礼での話の続きを私に言ってくれました。 「いいか、営業の仕事はずっと同じことをしていると、そのうちに行き詰まる。漫然とルートを回っていたら売れるものも売れなくなってしまう。営業をやっていると数字に追われるのは仕方ないが、売れなくなってお願いセールスばかりしていたら、相手の気持ちはこちらから離れてしまうんじゃ。
営業は『ものを売る』のが仕事じゃない。本当は『売れるようにすること』が仕事なんじゃ。ほとんどの人が営業は売り込むことが仕事だと思って、狭い穴にはまってしまう。それに陥らないように『売れるための仕組みをつくる仕事』をすることが先なんじゃ」 営業の捉え方はいろいろとあると思いますが、石元さんの考え方は強い説得力を持っており、それはそのまま彼の行動に表れています。 新たな機材の設置を図ったり、いままでとは違った売り方を提案したり、新しい取引先を探したりと「現状の枠のなかでもう1つ売るのではなく、もう1つ売れるための何かをつくること」を実践していました。
すべてに当てはまるのかもしれませんが、いままでと変わらないことをしていたら、ものごとは思うようによくはならないのではないかと思います。営業であっても、普段の私たちの日常であっても。 ■営業という仕事は毎日が学びの連続 営業という仕事はとても多くのものが学べる仕事です。学びというと学校でやったような勉強というように捉えられがちですが、実際の“学び”とは、自分の成長につながることすべてだといえると思います。
営業という仕事は毎日が学びの連続です。その中には不条理なものもあり、大きく落ち込むことも一度や二度ではありません。 お客様から相談を受けて一生懸命に考え、上司にお願いし、なんとか予算をもらった渾身の提案がそっけなく断られる。逆に法外な条件を突きつけられる。横から出された他社の提案にとって代わられる。 なんともやりきれなくなることが当たり前のように起こります。 しかし、その1つひとつが自分の成長の大きな糧となるのです。落ち込んだりしなくてもいいのです。その渦中ではとても耐えられないと感じますが、実体験から得た学びは柱となり、必ず自分を支える強い力になります。私は営業という仕事を通じて、このことを実感しています。
※本文に登場する人物名、店名などは、実名・仮名を適宜使い分けています。
山岡 彰彦 :株式会社アクセルレイト21代表取締役社長