アンティローザの「アイバー」 ファッションコンシャスなZ世代を惹きつける魅力
難易度高めなアイテムに触手を伸ばす若者
メンズだってヘソ出し&スカート
広報担当者によれば、「ひと癖あるアイテムでも、躊躇なく手に取ってくれるお客さまがとても多い」という。実際、一般向けに開催した展示会では、ファッションコンシャスな若者がひっきりなしに姿を現した。例えば、ベースボールキャップではなく、フライトキャップを真っ先に選ぶ女性や、上述のヘソが見えるほどのショート丈トップスやスカートを試着し合う男性客も。高校生の頃からブランドのファンだというダンサーの男性(27)は、「『アイバー』はストリートすぎず、モードすぎない。そのバランス感覚がちょうどいい」と話す。
コロナ禍が明けてから、「アイバー」はこれまで以上に顧客とコミュニケーションを図る。外出がはばかられていた時期から、その重要さに気づき、いち早く動き出せたかどうかが、EC専業ブランドにとっては大きかったに違いない。今年4月には初のポップアップショップも実施したほか、21年以降の展示会は、業界関係者だけでなく一般客にも開放している。また、「販売員出身だからこそ接客を大事にしたい」と考える河嶋ディレクターは、展示会期間中も常に店頭に立ち、来場者のスタイリングのアドバイスも行う。「次の目標は実店舗をオープンすること」と、次なるステップも見据えている。
アンティローザは、1998年創業のアパレル企業。EC領域を主販路とする「キャスパージョン」「メルロー(MERLOT)」「ヴァカンシー(VACANCY)」など70以上の自社ブランドを保有する。14年にはRIZAPグループに買収された。現在は事業を拡大し、アパレル事業のほかに撮影スタジオやイベントスペース運営、カフェ経営にも取り組んでいる。