判断ミスの根本原因は「3つの認知バイアス」。意識を変えれば正解が見えてくる
「自分は有能だし、いつも正しい決断を下している」。私たちがいくらそう思っていても、心はあの手この手で私たちを欺いてきます。その手口の1つが「認知バイアス」です。 認知バイアスとは、いわば思考における系統誤差(systematic error:偶然による誤差ではない誤差)です。 この誤差は、脳が処理中の情報を単純化しようとする時に生じるもので、私たちが下す決断や判断に大きな影響を及ぼしうるものです。 『Thinking 101: How to Reason Better to Live Better 』の著者で、イェール大学で心理学を研究するWoo-Kyoung Ahn教授は先日、NPRにこう語りました。 私たちの祖先が生きていた時代なら、認知バイアスは、決断をすばやく下して生き延びるために役に立ったかもしれない。 しかし現代社会では、むしろ私たちの足を引っ張ることもある。
もっとも「一般的」な認知バイアス
認知バイアスの種類は多岐に渡ります。 たとえば、「アンカリング効果」(あるトピックについて、自分が学んだ最初の事実に基づいて情報をカテゴリー分けする傾向)や、「ダニング=クルーガー効果」(自分自身の無能さを認識できないこと。もちろん、あなたではなく他人のことです)といったものがあります。 Ahn教授はまた、私たちの誰もが認知バイアスを抱くものだ、と述べています。 誰もが抱くもっとも一般的な認知バイアスには、次の3つがあります。 自分の能力を過大評価してしまう傾向 ネガティブなものに執着してしまう傾向 すでに決定された世界観を裏づけるデータばかりを選んでしまう傾向 たとえば、自分の能力を過大評価していると、もうできたような気になってしまうせいで、準備不足に陥ってしまうかもしれません。 また、ネガティブな事柄にばかり目を向けていると、家を買ったり、転職したりといった、大きな決断ができなくなってしまうかもしれません。 さらに、すでにわかっていることを裏づけるデータにしか注意を払わないでいると、ほかの事実を知ったり、受け入れたりといったことができなくなるかもしれません。