職場の「信用できない人」にどう接する? 消耗しない人付き合いのコツ
相手に信用できない人だという印象を持つと、予防線をはって接してしまうものです。しかし、ごくささいな言動一つで、相手との関係は大きく変わります。人間関係を良好に保つためのシンプルな秘訣を、書籍『「ToDoリスト」は捨てていい。』から紹介します。 人間関係が良くなる8か条 ※本稿は、佐々木正悟著『「ToDoリスト」は捨てていい。』(大和出版)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
なぜ私たちは「他人を変えたい」のか?
「人を変えようとせずに、自分が変わることを考えましょう」というふうに、よく言われます。私自身も言われた経験があります。 たしかにもっともです。とはいえ、そう言っている人だって、まさにそのように告げることで、私のことを変えようとしているように聞こえなくもありませんが。 私たちはたしかに「他人を変えよう」としたがります。私にしても、なるべく他人には好意をもって欲しがるし、なるべく悪意をもたれないように工夫します。 ところが、このような努力をするまでもなく、じつはそもそも私たちは「他人を変えてしまう」のです。私たちは人と話をするだけで、相手に影響を与えないではいられません。 それはごくささいな言動から始まります。 たとえば、飲み物を持ってきてもらったときに、「すみません」と言うのと「ありがとう」と言うのとでは、相手のその後の振る舞いはたしかに変わります。どちらのほうがいいとか悪いとかいうのは、このさいおいておきます。 ただ、どちらかを選ばなければなりません。「なにも言わない」としても、相手はその沈黙を受けとめて変化してしまいます。つまり、「相手を変えようとしない」というよりも、「相手を変えてしまう自分をもう少し控える」のが消耗しない人間関係のコツです。 とくに「悪い方向に相手を変えてしまう」のをやめるだけで、たいていの関係はとても良好になります。 たとえば、仕事ではよく「予防線をはる」ことがあります。予防線をはるからには、警戒心が働くのでしょう。 これをなるべくやめるだけで、仕事の人間関係で疲れなくなります。 ここで、あなたから取引先のAさんに、予防線をはるメールを送ったと想像してみましょう。「おたくはこの予算でやれと言うし、やってみるけど、それでいい仕事はできないかもしれませんよ」とやんわりと伝えるわけです。 どれほど伝え方をマイルドにしても、ここには不信や不快感がありそうです。つまり低予算を提示してきたAさんのことが、信用できないわけです。相手の思うところに沿っていたら、ひどい目にあいそうだと感じてもいます。だから、悪いことが起きてもいいように「予防」しておきたいわけです。