石破総理の「北朝鮮との連絡事務所設置」はあまりにもナンセンス…本気で拉致被害者を救出する意思があるなら「特殊部隊による救出作戦決行の覚悟」が必要だ
血を流す覚悟があってこその「交渉」
力づくで拉致被害者を取り戻すための選択肢は大きく二つ。 一つは、「特殊部隊を編成して救出作戦を実行する」ことであり、もう一つは、「金総書記による独裁体制を終わらせ、朝鮮半島の休戦状態を完結(南北が自由に行き来できる又は南北が統一)させる」ことである。 この内、わが国が主体的に行えるのは前者であるが、この場合も米韓による軍事協力は不可欠となろう。 以上を考慮すると、いずれも極めてリスクが高い選択肢であるとは思われるものの、救出作戦に関しては、前述のとおり米韓との軍事協力の機は熟している状況にある。何より重要なのは、これを実行しようという意志を示すことであり、米韓の協力を得てこの救出作戦を実行可能にするための訓練を始めることだ。 本年6月25日の拙稿『「電撃訪朝」のウラでプーチンと金正恩が最も恐怖していた「米韓特殊作戦部隊」の正体』で述べたように、米韓による特殊作戦訓練は年々深化しており、これに伴ってその能力も向上を遂げている。わが自衛隊も、今後このような訓練に積極的に参加して、北朝鮮にその意志をアピールすべきではないか。 日米韓の軍事的圧力がさらに高まり、北朝鮮国内における特殊作戦の遂行が現実味を帯び、金総書記が自らの命運に危害が及ぶような事態を察知すれば、拉致被害者の解放のための交渉も現実味が帯びることになるであろう。
鈴木 衛士(元航空自衛隊情報幹部)