石破総理の「北朝鮮との連絡事務所設置」はあまりにもナンセンス…本気で拉致被害者を救出する意思があるなら「特殊部隊による救出作戦決行の覚悟」が必要だ
これまでの経緯
北朝鮮の金正恩総書記は、2019年2月にベトナムのハノイで行われた(トランプ大統領と2018年6月に初めて開催して以来)2回目となる米朝首脳会談で合意が決裂して以降は、その対米姿勢を対話から対決へと180度転換し、再び核・ミサイル開発を加速させるなど、軍事力の強化に邁進しているところである。 加えて、2022年5月に対北宥和政策をとっていた文在寅(ムン・ジェイン)政権が、対北強硬派の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に交代してからは、さらに韓国との対決姿勢も露わにし、本年1月に行われた北朝鮮の最高人民会議で金総書記は演説し、「韓国との統一がもはや不可能というのが自身の最終結論だ」と述べた上で、韓国を「第1の敵国、不変の主敵と定めて自国民を教育すべきだ」と表明した。 なお、今月7日と8日に再び行われた最高人民会議においては、この韓国の「主敵」扱いについて憲法で明文化された可能性もあると見られている。
北朝鮮は変容した
北朝鮮が、1948年の建国以来、金日成や金正日など歴代の最高指導者たちが、祖国や民族の至上命題として掲げていた朝鮮半島の統一という国家目標を捨てた意義はあまりにも大きい。 つまり、金正恩総書記によって、もはや「朝鮮民主主義人民共和国」は完全に以前とは別の独裁国家に変容した、と見なければならないということである。 一方の韓国は、今月1日に行われた「国軍の日」で自国の新型弾道ミサイル「玄武(ヒョンム)5」を初めて公開するとともに、尹大統領が演説で「北朝鮮が核兵器の使用を企てるなら、韓米同盟の圧倒的な対応で、その日が(北朝鮮政権の)終末の日になる」と、自国を主敵と位置付けた北朝鮮を牽制した。 かかる情勢で、日本が今なすべきは、この米韓との連携をさらに強固にして、北朝鮮への圧力を強めることである。すでに、軍事面においては、北朝鮮の弾道ミサイルなどの発射に際し、日米韓が連携してこれに対抗するような北朝鮮への示威行動を実施しているところでもある。 したがって、石破新総理が、拉致被害者を取り戻すことを最優先の政策課題にするというならば、現時点で明言すべきは、「北朝鮮による日本人拉致被害者全員を救済するためには、あらゆる選択肢を排除しない」ということではないか。即ち、力づくでも取り戻す覚悟を示すことだ。