ウクライナ軍、シャヘド自爆無人機を400機破壊か ロシア南部の保管施設攻撃
ウクライナ軍参謀本部は9日、ロシア南部クラスノダール地方にあるシャヘド自爆ドローン(無人機)の保管施設を攻撃したと発表した。施設ではシャヘドおよそ400機が保管されていたとしている。 400機のシャヘドが破壊されたとすれば、ロシアが2022年2月に戦争を拡大して以降、ウクライナに対して使用してきたシャヘドの総数の5%近くに相当する数が一気に失われたことになる。 クラスノダール地方のオクチャブリスキー近郊で発生した大火災の映像が攻撃を裏づけているようだ。ウクライナ軍参謀本部は攻撃について「目標に正確に命中したことが記録された」とし、「二次爆発が観測された」と続けている。 シャヘドはイラン企業のシャヘド航空産業によって開発されたプロペラ駆動、衛星誘導、重量200kgの徘徊弾薬で、ロシアがウクライナの都市に対する遠距離攻撃に用いている主要な兵器のひとつになっている。ウクライナ政府は9月中旬、ロシアが戦争拡大以来ウクライナに向けて発射したシャヘドは累計で8000機あまりにのぼると報告している。 ウクライナ軍の防空部隊は、飛来するシャヘド型ドローンのほとんどを撃墜している。防衛ニュースサイトの「ディフェンス・ニュース」によれば、2024年3~7月の撃墜率は91%に達した。 しかし、これは裏を返せば、100機中9機はウクライナ側の防空網をすり抜けているということだ。これらのシャヘドは50kgほどの弾頭で住宅や施設を襲い、民間人を無差別に殺傷している。今年6~8月の3カ月だけで、こうした攻撃によってウクライナの民間人およそ600人が死亡し、2700人が負傷している。 シャヘド400機を破壊できたのだとすれば、ロシアによるこのドローンを用いた攻撃のペースは鈍るだろう。ウクライナ軍参謀本部は「シャヘドの保管基地の破壊は、占領者ロシアがウクライナの都市や村の住民に対してテロを行う能力を大幅に低下させるだろう」と述べている。 とはいえ、それはかりそめの勝利だ。ロシアはいつでもイランから追加でシャヘドを調達できるだろうし、西部のタタールスタン共和国アラブガ(エラブガ)の工場でシャヘドを国内生産してもいる。ロシア側は自国でシャヘドを6000機製造するライセンスを取得するために、イラン側に一部は金(ゴールド)現物で17億ドル(約2500億円)を支払ったとされる。