グリエルの鮮烈デビューに中畑監督が「かっこいい!」
横浜DeNAがキューバから獲得したユリエスキ・グリエル(29歳)が8日、横浜スタジアムで行われた交流戦の楽天戦、「3番・サード」でデビュー。4打数3安打の猛打賞で2度ホームを踏み、「キューバの至宝」の名に恥じぬ存在感を示してチームの勝利に貢献した。最初の打席はショートゴロに倒れたが、3回二死から巡ってきた第2打席では、サード強襲の来日初ヒット。続くブランコの右中間を破る二塁打で、一塁から一気に同点ホームに滑り込むと、その気迫に押されたかのように返球も大きくそれた。続く筒香は、勝ち越しの2ランをバックスクリーンへ。グリエルのハッスルに打線が活気づいた。 これには中畑監督も大喜び。「持っているね。雰囲気があるね。走攻守において、見せるべきところで見せる。かっこいい。ベンチをやる気にさせて明るくさせる」。5回の第3打席には、一死からレフト線を破る二塁打。続く筒香のタイムリー二塁打を呼び込んだ。圧巻は、7回の第4打席。インサイドのボールに詰まったが、その打球は、スピードに乗ってショートが追いつかない。なんとセンター前ヒットになったのだ。驚愕的なスピードのバットスイングである。 2013年のWBCで、キューバと対戦する際、グリエルを徹底研究していた当時の投手コーチ、与田剛氏は、「内角を使わないと外の変化球の出入りだけでは通用しないというスコアラーの報告があったことを覚えている。キューバの国内リーグは、昔のメジャーリーグのように少しストライクゾーンが外にあるので、選球眼も良く、外の変化球には対応してくる。またバットスイングが速く、少し芯を外したくらいではヒットになるという話もしていた。ファーストストライクをどんどん振ってくるので、いかにインサイドのボールを意識させ、ストライクを縦横に広く使えるかが攻略のカギだった」と言う。 おそらく楽天サイドも、このデータを入手していたのだろう。キャッチャーの嶋は、最初の打席から極端にインコースに寄ってミットを構えたが、グリエルに意識させるようなインサイドのボールは、ひとつもなかった。先発のブラックリーは、2009年のWBCでグリエルと対戦経験があって、当時は、3の0に抑え込んでいたのだが、結果、内を攻めきれずに外の変化球で勝負する形となった。ストライクゾーンであれば、バットスイングの速いグリエルにとってはホットスポットである。