グリエルの鮮烈デビューに中畑監督が「かっこいい!」
グリエルは、デビュー戦で、先発転向後、2勝目を挙げた山口と、筒香と共に3人で並んでヒーローインタビューを受けた。「初めての国外のリーグでの野球だ。プレッシャーを感じていた。しかも、キューバのシーズンが終わって2か月間、野球ができていなかったので、そこも心配だった。守備にしてもキューバは天然芝だが、こちらは人工芝。どうバウンドを合わせばいいのかが難しくて、心配だった。意識的に打球を引っ張ったわけではないが、結果的に強いスイングができた。結果には満足している。まだ80から90パーセントの状態だが、あと2、3日で100パーセントに持っていける。プレーを重ねれば、もっと順応できると思う」。 その左手には、肌色のテーピングが巻かれていた。2か間のブランクを経て、急にバットスイングをしたため、“素振り豆”ができて潰れたのだ。本人は、80から90パーセントと口にしたが、まだベストの状態には、ほど遠いのだろう。それでも、これだけのスイングができるのだから、ベストになったときが、末恐ろしい。これまで、来日したキューバ選手は、社会人も含めて、すべてリタイヤ寸前の“ポンコツ”だったが、本物がやってくれば、どうなるかをグリエルが、そのデビュー戦で、衝撃的に証明してみせた気がする。 練習不足を不安材料と考えていた中畑監督もナチュラルなポテンシャルに脱帽。「あれだけ練習をやってなくて、よく走れるな。練習っていい加減でいいんだな(笑)。休みも練習のうちと言うけれど、実戦の中で作っていくタイプなのだろう。ものが違う。走る姿も、守りもシャープだ」。グリエルは、内野すべてOKのユーティリティプレーヤーだが、この日は、三塁で起用された。初回に一死から藤田の詰まった打球が、三塁ベース上に転がる難しい打球となったが、鮮やかなスナップスロー。7回には、嶋が打った高いバウンドのゴロをハーフバウンドで捕球しようとしてタイミングが合わず後逸してしまったが、計3度あった守備機会を確実にこなした。あまりの強肩ぶりに、受け手の一塁のバルディリスが目を白黒させるほどだったが、グリエル本人は、「キューバでは普通のことだけどバルディリス選手を驚かせてしまったようだ」と恐縮していた。