【米国政治に翻弄されるTikTok】バイデン大統領は規制法案にサインもトランプ氏は反対を表明、親会社・字節跳動の株主構成と成長の経緯を読み解く
トランプ氏は態度を一変、TikTokの利用禁止に反対
米国TikTokへの規制は今に始まったことではない。トランプ前大統領が2020年8月に、一度この行政令にサインしている。しかし、字節跳動側が、憲法上の表現の自由、行政手続き法に違反する恣意的な越権行為と主張、その主張が通る形で規制法案は停止されていた。 前述のようにバイデン大統領が規制法案にサインしたが、トランプ氏は2024年3月、態度を一変させ、今度はSNSを通してTikTokの利用禁止に反対すると書き込んでおり、6月には、TikTok上に“私はTikTokを救わなければならない”とまで書き込んでいる。今やトランプ氏の重要な側近となったイーロン・マスク氏は政府による規制を極端に嫌う。米国TikTokが実際に利用禁止に追い込まれるかどうかは依然として、不透明な状況だ。 大統領が一企業の経営に対して、ここまで口出ししなければならない程、一瞬にして大量の有権者に情報を配信しうるSNSは政治家にとって大きな武器であり、同時に大きな脅威なのだろう。それは日本でも同じで、11月に行われた兵庫県知事選がそのことを強く表している。 SNSが社会に強い影響力を与えるのであれば、進化したAIがそれに加わった場合、その影響力は計り知れない。果たして特定の悪意を排除できるだろうか。急速な技術進歩にあわせて政治システム、民主主義も進化が必要ではないだろうか。 文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うフリーランスとして活動。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」も発信中。