会計不正の番人かオオカミ少年か 空売り投資グラウカス日本進出どう見るか
会計不正の発見ではなく異議申立て?
グラウカスは、そうした会計不正の発見のほかに、企業の会計についての考え方に対して異議申立てを行おうとしているのかもしれません。会計処理には、複数の方法から選択して適用するものがあります。例えば、AとB、2つの方法から選択することができ、ある企業がAを採用している場合、グラウカスが、「Aは適当ではない。Bを選択すべきだ」と主張してくる可能性が考えられます。 しかし、それは会計不正の発見ではありません。その場合、企業は会計不正など行っておらず、自らの考え方に基づき、正しい会計処理を行っているだけです。もしもグラウカスが、ある企業の株価下落を狙って行った、その企業に会計不正があるという主張の中に、そうした異議申立てを織り交ぜていたとしたら、不適切と言わざるを得ないでしょう。
会計不正の番人?それともオオカミ少年?
グラウカスが、今後、ある企業の会計不正を発見したという情報を公表した場合、「声の大きさ」に惑わされず、その内容を冷静に見極める必要があるかと思われます。気を付けないと、グラウカスの思う壺にはまり、ただグラウカスを儲けさせるだけという結果になってしまうかもしれません。 (事業創造大学院大学准教授 鈴木広樹)