非正規採用、モンペに校内いじめ…適応障害発症した夫を支えた教員が「裏切り」に気づいた理由
モンスターペアレンツに校内いじめで適応障害に
夫はその後、先生の仕事に燃えて仕事をしていましたが、34歳の時にモンスターペアレンツのクレームや、同僚からのいじめが相次ぎ、適応障害を発症。自律神経がおかしくなり、不眠症になりました。それでも3年間、頑張っていたのですが、休職することになったのです。 「夫の勤務校には、ちょっと有名ないじめのボスがいたので、心配していました。夫には“あの人には近づかない方がいい”と言ったのですが、標的にされてしまったんです。いじめのボスは、子供が多い時代に大量採用された人で、能力が低い。“ちゃんとしなさい”が口癖で子供を没個性にする古い教育をするタイプなんですよね」 夫はPTA対応や、見回りなどの大量の雑事、学籍関連事務など正確性が求められる校務を押し付けられます。決定的だったのは、飲み会を設定したのに、間違った日時を教えられたので、待ちぼうけを喰らわされ、キャンセル料の3万円を自腹で払わされたこと。神戸のカレー事件を彷彿とさせる「ザ・いじめ」です。 「職場のストレスが多いと、いじめも多くなります。人間の集団はそうなっているんです。休職の決定打となったのは、学級崩壊。教員にとって、学級崩壊はつらい。アイデンティティの崩壊と同義なんです。私は子育てを引き受けながら、夫のことを支え続けていました」
子育てと夫のサポート
奈美さんは30歳の時に娘を出産しています。夫が適応障害になったとき、娘は4歳。子育てと夫のサポートを3年間行いましたが、夫は37歳の時に休職することになったそうです。 「ホッとしましたが、“俺はダメな男だ”“教員失格だ”と夜中に叫んだりするように。結局、3年間の休職期間を経て、40歳で退職することになりました。この3年間、傷病手当は出ますがお小遣い程度。それまで、住宅ローンや生活費は、1円単位で割り勘にしていました。私はお金もフェアでありたかったんです。夫が休職に入ってから、私が全額負担することになったんです」 夫の最近の写真を見せていただくと、顔立ちはすっきりとしており、爽やかな雰囲気。90年代のトレンディドラマに出てきそうな容姿をしており、モテそうです。奈美さんが白髪まじりの髪なのに、夫は真っ黒に染めていました。 奈美さんは、「ここまで回復したんです。休職したばかりの写真はこれです」と見せてくれたのは、無精髭を生やして、青白い顔をしてブクブクに太った別人のような男性でした。 「スナック菓子やファストフードに依存し、それらに大金を使いました。お金がなくなると、食パンにマーガリンと砂糖を塗って食べていたんです。私が仕事をセーブして、散歩に連れ出し、自炊を教えて、休職できうるギリギリの3年かけて元に戻したんです」