〈外国人だらけの渋谷ハロウィーン〉「休止?シラナイヨ」「誰も止められないヨ」酒がなくてもハイテンションで…
ふだんは真面目な会社員もこの日は…
センター街で一際目立っていたのは在日カナダ人3人組。そのひとり、バナナのコスプレをした横浜在住歴10年のコールトンさんはこう持論を述べた。 「かつて渋谷では商店街主催のハロウィーン仮装コンテストをやってハロウィーン誘致してたでしょ? なのになぜ急に止めると言い出す? 悪いことするヤンキーはごく一部で、全員じゃない。安全に楽しむことはできるはず。祭りを休止するなんてバカげてる」 また、「ジョーカー」の恋人ハーレイ・クインに扮した在日中国人のベティさん(40歳)も「渋ハロ最高~!」と叫ぶ。 ベティさんは普段はごく真面目な会社員として働いているが、ハロウィーンの日は毎年「一年に一番のお祭り騒ぎの日だよ。とびきりオシャレして毎年渋谷に来てる!」と笑顔を見せた。 そんなベティさんに渋谷のハロウィーン休止宣言について聞くも「渋ハロを誰も止めることはできないよ!」と笑いながら去っていった。 また今年は、各国から日本に来た留学生の姿も多かった。宇田川町のど真ん中にある宇田川交番の前で堂々とミニスカポリス姿でたたずんでいたのはスリランカ人のアシさん(20歳)。アシさんは交番の中から外に目を光らす警察官を尻目に、悪びれもせずこう言った。 「渋ハロ参加は今年で3回目ね。今日は朝までクラブで遊ぶよ! べつに路上でお酒を飲んだりタバコは吸ってないんだから、何も悪いことしてないでしょう?」
ウクライナから避難してきたコスプレーヤーも
続いて、ウクライナから両親とともに避難してきたという日本語が堪能な3人組。今年初めて渋谷ハロウィーンを訪れたという、骸骨メイクをするアリさんは言う。 「日本はとても安全で平和な国。今日は仲のいい3人でこうしてコスプレして渋谷で楽しめて幸せだった。電車の時間があるから、これから急いで駅に向かわないといけない」 どこかのお店で飲んだ後なのか、フラフラしながら大声で笑い合っていたスペイン人のジェニーさん(右、30歳)とジャイサさん(左、23歳)も「渋谷ハロウィーンはこれで2回目だよ。ルールがあるなんて知らないよ。これからこのままの格好で渋谷から新宿へ移動して朝まで飲み明かす」と陽気に笑っていた。 これまで10年以上、渋谷のハロウィーンを取材してきたライターの鈴木ひろあき氏は言う。 「2000年代に認知されるようになった日本のハロウィーン。とくに渋谷の街全体における混乱は2010年以降から年々激化した。2014年には機動隊が出動し、2015年には逮捕者も出た。 そしてコロナ禍を境にハロウィーンに渋谷に来るなという看板を掲げるようになった。年々強まってきた警戒ムードは日本の若者には伝わったと思いますが、外国の方にはまったく届いていない状況です。 今後、渋谷区は、英語は話せないを言い訳にするのではなく、いかにして外国人たちにハロウィーンの日に渋谷に来てほしくない理由を説明するかが大事だと思います」 昨年10月、渋谷区長は東京の日本外国特派員協会(FCCJ)で開かれた記者会見で「今年のハロウィーンを渋谷で祝わないよう警告する英語の動画」を公開した。 だがこれは、一部報道では何を言いたいかわからない動画として不評だったとも言われている。規制動画を発信するだけでなく、もっと直接的に伝える対策が求められているのだろう。 取材・文/河合桃子 集英社オンライン編集部ニュース班
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