子ども2人を私立小に通わせ、家計が破綻…専業主婦の妻と離婚を決意した大手商社勤め夫の末路
家計管理で夫婦に亀裂
そんなある日、夫婦関係に大きく亀裂が入る出来事が起こった。家計管理でもめたのだ。結婚当初から、妻が家計を管理していたが、夫は、妻に「自宅購入資金のため、毎月10万円は貯金しておいてほしい」と頼んでいた。結婚から10年が経過し、そろそろ自宅購入をと考えた夫が何気なく家計口座を確認したところ、なんと100万円も残っていなかったのだ。どこか別の口座にあるのかもしれないと妻に聞いたところ、それが我が家の全財産だと言われ、愕然とした。その出来事を皮切りに、夫は妻のお金の使い方にうるさく口出しするようになった。また、出産を機に仕事を辞めた妻に対し、働いてほしいとも伝えた。しかし、妻は子どもたちが小学校を卒業するまでは子育てに専念したいという思いがあり、働くことに前向きになれなかった。 段々と夫婦関係が険悪になり、家庭内別居のような生活になったが、夫は、自分の居場所がなくなり始めていることに気付いた。帰宅しても妻と子が楽しそうに過ごしているリビングに入ることはできず、自室に引きこもるだけであった。休日も自宅に居づらく、子どもたちにかかわることもできない。お金だけ搾り取られるような生活が嫌になり、夫は離婚を決意した。
妻は離婚を拒否
妻に離婚の意思と家を出ることを伝えたが、「そんな身勝手なことは受け入れられない」の一点張りで話が前に進まなかったため、夫は別居後にADRを申し立てた。夫としては、弁護士に依頼し、妻とのやり取りを全面的に任せることも考えたが、今後の教育費を考えると、弁護士に支払うお金を子どもたちに使ってやりたいと思った。また、争った結果、「離婚はできたが子どもたちに会えなくなった」は嫌だった。子どもたちの幸せを願う気持ちは妻と同じであり、穏便に話がしたかったのだ。一方、妻は、勝手に出て行き、第三者を挟んでの話し合いを申し込まれたことに怒りしか感じなかったが、生活費を確保する必要があり、渋々ADRに応じることにした。 〈ADRの経過・1〉