悠仁さまの大学進学で特権利用はありえない 成城大教授・森暢平
◇論文や入学をめぐる言い掛かりやデマ 悠仁さまのいわゆるトンボ論文に大人の手が入り、それが不公平であることを「特権」と呼ぶ人もいる。トンボの標本を採集したのが悠仁さま自身であることに疑いの余地はなく、第一筆者が悠仁さまであるのに何の問題もない。赤坂御用地のトンボ相、すなわちどのようなトンボが生息しているのかを、幼少の時から探求し続け、それが、論文という形になったのは、日本の学術界にとって重要な成果である。悠仁さまは研究者の助けを借りてそれを成し遂げたのであり、非難されるいわれはない。剽窃(ひょうせつ)や不正があると騒いでいる人もいるが、素人の言い掛かりにすぎない。 そもそも総合型や学校推薦型の選抜で、提出書類の多くには大人の手が入っている。専門の塾がアドバイスすることは日常茶飯事である。選抜する大学教員はそんなことは百も承知のうえで、なお、受験生個人の資質や能力を見抜こうとしている。受験に面接があるのはそのためでもある。専門家集団である大学教員たちの目は節穴ではない。 筑波大の生命環境学群や生物学類で、この秋から冬にかけて、特任助教の公募が始まったことをもって、「悠仁さまの『受け入れ準備』」と報じるメディアまである(『週刊現代』12月28・1月4日号)。牽強付会(けんきょうふかい)のデマもいいところで、メディアの見識が問われる。 悠仁さまは公務先でも参考書を持ち込んで必死に勉強して生物学徒の切符をつかんだのであって、そこに「特権」要素は1ミリもない。(以下次号) ■もり・ようへい 成城大文芸学部教授。1964年生まれ。博士。毎日新聞で皇室などを担当。CNN日本語サイト編集長、琉球新報米国駐在を経て、2017年から現職。著書に『天皇家の財布』(新潮新書)、『天皇家の恋愛』(中公新書)など 「サンデー毎日」2025年1月19日・26日合併号(1月6日発売)には他にも「寺島実郎の動乱2025予測 日本は対米自立し、アジアに足場を築け」「石破首相が単独インタビューで語ったこと」「専門誌編集長が大胆予言 2025年わが業界はこれがくる!」「蔦屋重三郎のべらぼうな軌跡を訪ねる」などの記事も掲載しています。