悠仁さまの大学進学で特権利用はありえない 成城大教授・森暢平
悠仁さまが受験する1年前の生物学類の「小論文」過去問を別掲として紹介する。「小論文」という科目名のイメージとは異なり、現実は生物と英語の試験に近い。年内に実施する入試では、個別学力検査は行わないことが建前なので、「小論文」という科目名となっている。 問題ⅠからⅢまであり、問題Ⅰが英文をもとにした設問だ。『ネイチャー』誌のコラムでも著名な英国の免疫学研究者ジョン・トレゴニングの比較的平易な英文が使われた。引用部分は人類と細菌の関係についての記述だが、専門用語もあり、科学英文を読み慣れている必要がある。筑波の推薦入試では、英検やTOEFLなどの英語資格・検定試験のスコアの提出は必須ではないが、提出した方が有利なので、ほとんどの受験生はスコアを出しているだろう。つまり、英語力がなければ合格は難しい。 問題Ⅱ、Ⅲは生物に関する出題だが、「100字程度で記せ」という問いがいくつかあり、生物学の知識だけでなく、日本語の表現力も求められる。筑波大の場合、一般に推薦入試の方が一般入試より難しいと言われている。厳しい推薦基準に加え、英語、生物の高度な学力、日本語の表現力が求められるからである。 生物学類の今回の推薦入試の倍率は発表されていない。ただ、22人が合格し、合格者の最後の受験番号が「××62」なので、60人以上は受験しただろう。すなわち、3倍近くの倍率はあったはずだ。 日本の大学入試は、文部科学省の「大学入学者選抜実施要項」により、「合否判定の方法や基準を明確に定め、あらかじめ募集要項等により公表し、それを遵守(じゅんしゅ)する」ことが求められている。合否判定については、「中立かつ公平・公正な意思決定が行われるよう教授会や入試委員会等の合議制の会議体」が行う。恣意(しい)的な合格ラインが設定され、一部の人間だけが合否決定に関わるということはありえない。日本の大学の教授会はそこまで腐っていない。