【兜町地獄耳】 証券ライター　いよいよ師走相場に突入だ。今年も年末高に期待できると思うか？ 株式アナリスト　期待はしているんだけど、今年は警戒が必要だ。まず、18日にプライム市場に上場する半導体大手のキオクシアホールディングスだが、想定される時価総額は7500円規模、IPO（株式の新規上場）に伴う市場からの吸収金額は850億円とも言われている。 ライター　なるほど。キオクシアを買うために同じ半導体関連を売って、資金を確保する動きもありそうだな。アドバンテストや東京エレクトロンなどの半導体大手は日経平均への寄与度も高いから要注意というわけか。キオクシア自体はどう見られているんだ？ アナリスト　初値で跳ねることはないだろうな。公開価格は9日に決定するけど、ほぼそれに近い初値になると予想されている。相場環境が悪ければ、公募割れの可能性もありそうだ。先日は、株素人の友人のところに大手証券から電話営業があったらしいよ。 ライター　初値が期待できないとなると、少額の個人投資家がIPOで買うメリットはそれほどないな。金持ち投資家なら大きなロットでいけるから、それなりのメリットはありそうだけど。 アナリスト　それよりも、個人的には12月に配当の権利が確定する企業に注目している。ざっと調べただけでも4％以上の配当を出している会社がたくさんあるんだ。たとえば、ネット広告代理店のデジタルホールディングス（2389）は、12月一括配当で5％超の配当が予定されている。 ライター　業績は問題ないのか？ アナリスト　第3四半期の決算発表で通期業績を上方修正したばかりだ。 ライター　ほかに注目している会社はあるか？ アナリスト　新NISA（少額投資非課税制度）で人気のJT（2914）も12月に配当を実施している。ただ、JTは年間2回の配当だ。年利回りにすると4・6％程度。業績も安定している。 ライター　今年12月の権利付き最終日は26日だったな。極端な話、26日に株を買って、27日に売却しても配当の権利は得られる。1泊2日で5％の利回りはおいしいな。