「忘年会でビールをこぼされても大丈夫」→真冬に“意外な商品を大ヒットさせた”クリーニング店のPOP、その予想外の戦略とは?
感性価値創造のために“数多くの人材は要らない”
話を賃上げに戻しましょう。 賃金の原資は売上総利益(粗利益)です。米国の経営コンサルタント、アレン・W・ラッカーが、アメリカの製造工業統計データを分析した結果、総額人件費と比例関係があるのは、売上総利益ということを明らかにしました。売上高でも経常利益でもありません。売上総利益が増えれば、総額人件費が上がるのです。これは、アメリカの企業に限ったことではなく、世界中の企業に当てはまります。 ただし、売上総利益に比例して社員数も増えれば、総額人件費は増えても、社員1人あたりの賃金は増えません。そこで労働生産性を改善する必要に迫られるのですが、そのための最も有効な方法が感性価値創造です。 感性価値創造のために数多くの人材は要りません。創造性豊かな1人がレバレッジとなり、人数を増やさず大きく稼ぐことができる、労働生産性の高い企業に進化するでしょう。 およそ10年後に最低賃金を1,500円にするということは、1年あたり約50円の賃上げが行われることになります。 まさに賃上げマラソンです。完走するためには、感性価値創造をスタミナ源として走る、エネルギー効率の良い経営が求められると考えています。
米澤 晋也