「もしハリ」「もしトラ」 内向き米国に備えよ
自民新総裁は新大統領との信頼構築が急務
最後に、日米関係について触れておきたい。トランプ氏再選の場合、日本政府は国務長官の最有力候補とみられる前駐日大使、ハガティ上院議員ら前政権の高官との関係を維持しているため、関税などの難しい問題があるとしても交渉の余地があるだろう。 ハリス氏勝利の場合は、現バイデン政権から人事の引き継ぎが一定程度見込まれるため、短期的には大きな混乱はないとみられる。ただし、ハリス氏周辺の親族や地元カリフォルニアの人脈など、日本側がまだ十分に接触できていない側近がいるため、これらを把握し、関係を構築する必要がある。 いずれにせよ、自民党の新総裁は早急に権力基盤を固め、米国の新指導者との信頼関係を築くことが求められる。
【Profile】
小谷 哲男 明海大学外国語学部教授。日本国際問題研究所主任研究員を兼任。専門はアメリカ研究、日本の外交・安全保障政策、インド太平洋地域の国際関係と海洋安全保障。米ヴァンダービルト大学日米センター研究員、海洋政策研究財団研究員、岡崎研究所研究員、日本国際問題研究所研究員を経て2020年より現職。主な共著として、『ウクライナ戦争と激変する国際秩序』(並木書房、2022年)、『外交と戦略』(彩流社、2023年)。2003年度防衛庁長官賞受賞。同志社大学大学院アメリカ研究科修了。