ディズニーが表現した『水』と『雪』と『炎』のビジュアルエフェクト
ディズニーアニメの『プレーンズ2/ファイアー&レスキュー』が大ヒット公開中だ。前作で世界一のレーサーとなった主人公のダスティ。今回の作品では仲間とともに山火事と戦うレスキュー隊として活躍するストーリーが描かれている。仲間との友情物語もさることながら、描かれている炎や煙は、細部にまでこだわり、まるで実写のような圧巻の映像表現も見どころの1つで、『ファインディング・ニモ』(2003年公開)の<水>、『アナと雪の女王』(公開中)の<雪>に続く、『プレーンズ2』の<炎>と<煙>の表現力は、鑑賞者から絶賛の声が上がっている。 ■<炎>と<煙>の映像化に新技術を開発 一般的にはアニメーション製作において、ビジュアル・エフェクト(視覚効果)は最後のプロセスとなる。しかし、『プレーンズ2』では、そのエフェクトが大部分を占めていたため、アニメーターたちは、火災を“悪役”というキャラクターと捉え、最初に炎や煙をセットに入れ込む形で作品作りが進行させた。新たな技術も必要となり、新しいテクノロジー「ファイアー・ライブラリー」も開発された。これは、木々を燃やす炎や地上をなめる炎、激しい炎、そよ風に吹かれる炎など80種類以上の多様な炎や煙を運ぶことを実現している。 ■1つのショットに270日を費やす 火災の映像は、風向きや風速、火の温度、煙のディテール、照明と煙の相互作用を統合し、初めて誕生する映像だ。化学や物理の原理も用いられる。そのさまざまな要素を掛け合わせる必要があるため、最新技術を駆使しても、火災の映像を1つ製作するのに、少なくとも数日から数週間が必要とされる。今回、最も時間を要したエフェクトには、270日を費やしたショットもあったという。さらに、映画の半分以上にビジュアル・エフェクトの要素があり(1224ショットのうち652ショット)、中でも、難易度が最も高かったものが<炎>と<煙>だったという。 こうした高い技術力、リサーチ力、芸術性を追求することによって美しい映像が誕生している。そこには何百フィートもの煙の柱の横を飛ぶダスティたちの眼下に広がるスケール感のある火災から、燃える木の葉のディテールを描くクローズアップまでが美しく再現された。