ディズニーが表現した『水』と『雪』と『炎』のビジュアルエフェクト
■進化したテクノロジー 雪と氷の世界 歴史的大ヒットとなった『アナと雪の女王』。そのテーマは、ディズニーが初めて挑む“雪と氷の世界”だった。<雪>と一言で言っても、その描写はさまざま。ストーリーの舞台、アレンデール王国をすっぽりと包み込んだ荘厳な雪から、オラフ登場のシーンなどで表現された、思わず雪だるまを作りたくなるような雪。クライマックスでは吹き荒れる猛烈な吹雪などなど。さまざまな表情を持つ雪、そして氷の質感をアニメーションでリアルに描くことは、技術チームにとって最大の課題だったという。 ここでも、スタッフの地道なリサーチが“再現”に貢献する。アメリカ・ワイオミング州の山岳地帯で深雪を体感。例えば、映画でアナが丈の長いスカートで雪の上を歩いたように、スタッフも丈の長いスカートなどに身を包んで雪の中を歩き、足跡のパターンや衣服へのつき方を研究した。そして異なる質感の雪を表現するため、シミュレーションを繰り返し、いくつもの専用ソフトウェアを独自に開発。アナやエルサ、トナカイのスヴェンに至まで、それぞれのキャラクターが雪の中を歩くシーンでは、1歩ごとにかかる重みに対する雪の反応までもが、正確に表現されている。 ■日本人クリエイターが氷柱を再現 <氷>は、コンピューターが“苦手”なものの1つだった。プラスチックのようなものを描くのは鮮やかだが、物が透けたり反射したりする様子を描くのは簡単ではない。そこで、霜のような質感を表面に加えることで、氷の表情を変えられるツールを新たに開発するなどで対応していった。さらに、氷柱(つらら)をコンピューター任せにすると、機械的になってしまったため、数え切れないほどの氷柱を、1本ずつ手作業で形を崩す、リアルに近づける、という気の遠くなる作業を、日本人クリエイターが担当し、再現させている。
■ピクサー初の“水しぶき”を表現 今から約10年に公開されたピクサー・アニメーション・スタジオの『ファインディング・ニモ』。ここでは、<水>が鮮やかに表現された。 コンピュータ・アニメーションにおいて<水>は、作り出す上で最も難しいものの1つとされていた。作品の大部分が<水>の同作品において、テクニカル・チームは、途方もない要求を満たす新しい方法と、過去にも他の人たちが遭遇したいくつかの問題を解決する方法を見つけ出さなくてはならなかったという。 海の中を表現したさまざまな映画を参考に、もっともらしく海の中のように見せているものが何なのかと分析。映画の設定となる環境と、それぞれ異なった構成要素を専門に取り扱う6つのテクニカル・チームが構成された。なかでも『サメ/シドニー・ユニット』の挑んだ“クジラの水しぶき”の表現は、最もハードなチャレンジとなった。実は、ピクサーはそれまで一度も水しぶきを描いたことがなかったため、3次元の水を描き出す方法を見つけ出さなくてはならず、連続する水の動きを計算するソフトウェアと新しい技術を開発することで、リアルに描けるようにしていった。 これら3作品で表現されたディズニーの『炎』『雪』『水』。膨大な時間を費やし、リサーチと研究を重ねた技術が、よりリアルな作品製作に貢献している。 ◇『プレーンズ2/ファイアー&レスキュー』大ヒット公開中 ◇『アナと雪の女王』オンデマンド配信中 ◇『ファインディング・ニモ』オンデマンド配信中