ダイドー、セブン、すき家、スシロー…物価急上昇の中、商品値下げ作戦の期待とジレンマ
こうした状況を深刻にとらえた同社はPB「トップバリュ」で食品や日用品など約100品目を10月中に順次、数量限定で増量した。11月中旬からは一部商品を1割ほど値下げする。「実質賃金が伸びず、(消費者は)価格に敏感になっている」と広報担当者。「ハレの日は奮発する消費の二極化はあり、普段使いのもので値打ち品を強化した」と説明した。
コンビニも、根強い割高なイメージを払拭すべく値下げに踏み切っている。セブン―イレブン・ジャパンは9月末までに食料品や日用品など低価格帯の商品を270品目に拡充した。今年7月に「手巻おにぎり」シリーズの価格を見直し、税込み130円台に。おにぎり全体の販売数が1割以上増えるなど手応えがあったという。9月からは対象商品を広げ、麻婆丼やバターチキンカレーなど従来価格から約50円値下げした。
■くら寿司は「1皿100円」を限定販売
価格面での「手ごろさ」を売りにしてきた外食も、物価高という「逆風」のなかで存在感を示そうと懸命だ。大手牛丼チェーン3社は10月、一斉に期間限定の値下げを実施。すき家が集客好調を理由にこのキャンペーン期間を延ばす動きもあった。
すしネタである魚介類の高騰に悩まされる回転ずしでも、全面的な価格改定を境に提供をやめていた「1皿100円」のすしを期間限定で復活させる動きが広まっている。「スシロー」運営のフード&ライフカンパニーズは昨年10月以降、複数回にわたって販売。くら寿司も、通常の1・5倍盛りにした税込み100円のネギマグロの握りずしをこの10月に数量限定で販売した。
ただ、くら寿司は今後も同様の商品を投入するかは未定。担当者は、コストが高止まりする中で全品100円時代に戻すのは「難しい」とも。「値下げで利益が減れば、(人材獲得の要ともいえる)賃上げの原資も減ってしまう」と、消費の回復が鈍いことに表情を曇らせている。(田村慶子、清水更沙)
■実態以上に消費者にのしかかる物価高