人気漫画『1122』実写ドラマ化!夫婦でクリエイターな監督&脚本家の仕事の距離感とは?
脚本とでき上がった作品がガラリと違うものになるのは、やっぱり面白いですね(かおりさん)
──監督は普段から、かおりさんに作品について相談するとおっしゃっていましたね。 力哉さん 彼女はそんなに優しくないというか、“イエスマン”ではないので、意見を言われた瞬間は「何くそ!」と思うこともあるんですけど(笑)。指摘はいつも的確です。しかも基本、俺の作品を観ていないんです。そこがいいんです。いい意味で興味がない。 かおりさん 子どもがまだ小さかった頃は、なかなか映画を観る時間を確保できなくて(笑)。ただ、『街の上で』とか『窓辺にて』とかは観ています。 力哉さん 『窓辺にて』では、物語の終盤に稲垣吾郎さん演じる主人公が妻の浮気相手と会うシーンが出てくるんです。実はあのシーンは、「二人は会わなくていいの?」と妻に言われて追加したシーン。結果的に作品にとってプラスになったし、その場面を評価されたりもして。さすがだなと思いました。 ──お互いのクリエイターとしての魅力を、どんなところに感じていますか? 力哉さん 妻が過去に撮った2本の映画がめちゃくちゃ面白いんですよ。自分はどちらかというと、“今までにないものを”って感覚でつくりたいタイプ。でも彼女は映画学校のシナリオの授業で学んだ基本に忠実に、物語の起承転結をしっかりつくるタイプですね。 かおりさん 彼の作品は“間”をすごく大事にするので、絶妙なタイミングで笑いを生み出したり、強弱をつけるのが上手いなと思います。私は脚本のストーリーがすごく好きだけど、彼はたぶん脚本よりも演出が好き。 『1122 いいふうふ』でいえば岡田将生さんが原作とは少し違う二也(おとや)を演じたように、彼は役者の持ち味を最大限生かしている気がするんです。自分がこうしたい、というこだわりよりも、俳優の魅力に合わせて演出している印象があります。脚本とでき上がった作品がガラリと違うものになるのは、やっぱり面白いですね。 力哉さん 俺は作品の中にいる人さえ生き生きしていればいいと思っています。だから、俺は自分を脚本家だと思ったことはなくて。自分で書いた脚本はあくまで設計図で、それをもとにいろんな人の力を借りて面白くできるのが、映画とかドラマのよさだから。