「暑くて寝苦しい」「何日も過ごすのは…」。エアコンなしの体育館で避難所を疑似体験 コイン式シャワーや段ボールベッド、関連死防ぐための工夫と課題
翌日の朝食は、アルファ化米をアレンジした料理が出され、テーブルと椅子で食べた。ひじきご飯とシチューのルーを使ったドリアや、山菜おこわを焼きおにぎりにして出汁をかけた茶漬け―。整った環境での一手間加えたメニューに、参加者の間に、笑顔と会話が生まれていた。 「被災者には元気を出してもらわないと生活復旧はできない。だから、おいしい食事を食べてほしい」と水谷さん。非常食を単に提供するだけではなく、そろえられる食材で工夫した料理を提供できれば、心身ともに栄養になると感じた。 訓練の最後には、気づいた課題や対策について意見交換した。 「常温の水だけだと暑くて飲む気持ちにならない」 「床に寝たが、夜中にトイレへ行く人が通るたびに足音や振動が気になった」 「人によって就寝時間が違うのでルール作りが必要だ」 さまざまな声が上がった。 訓練を終えた、東大阪市危機管理室の田島佳郎(たじま・よしろう)室長(53)は「工夫すれば避難生活がレベルアップできると感じた貴重な体験だった。今後の運営に生かしたい」と真剣な表情で話していた。
避難所・避難生活学会の水谷さんは「ライフラインを止めずに制限しているだけの環境でも、これだけ厳しい。実際の避難所はどれだけしんどいか。支援者側として避難生活を疑似体験でき、どういうサポートが必要か気づきが得られた」と、汗を拭いながら意義を語った ▽編集後記 訓練中、記者が蒸し暑さに思わず床で横になって休憩していると、「大丈夫ですか」と明るく声を掛けてくれる人たちがいて、元気が湧いた。避難者同士で相手の顔色を見て声を掛け合い、体調を気遣うことも、厳しい避難所生活では大切だと感じた。