斎藤知事とPR会社社長を刑事告発の弁護士、女性社長は「寛大な処分にしてもらうべき」 単独取材に真意明かす
あまりにぬるいメディアの追及 「それはちょっとおかしいだろうと」
兵庫県知事選挙を巡り、公職選挙法違反の疑いで斎藤元彦知事と西宮市のPR会社merchuの折田楓(かえで)代表を刑事告発した郷原信郎弁護士が3日、都内でENCOUNTの取材に応じ、告発状の真意を明かした。折田氏がnoteに「広報全般を任せていただいた」とつづった騒動が拡大。「違反することはない」との認識を重ねて示す斎藤知事に対し、郷原氏は斎藤知事の選対メンバーと折田氏のSNS上のやり取りから、折田氏のnoteは事実と指摘。一方、アピール好きの折田氏が自身の承認欲求から勝手に投稿したとの見方には否定的な考えを示し、「真実を洗いざらい述べて」と捜査に協力するよう求めた。(聞き手=水沼一夫) 【写真】SNSが「キラキラ生活」と話題になった折田楓氏。沖縄の海で弾ける姿を見せていた、実際の写真 ――神戸学院大の上脇博之教授とともに兵庫県警と神戸地検に告発状を提出。その真意は。 「我々の目からすると斎藤知事側、代理人弁護士が言っている話は穴だらけというか、こんなものおよそ通らないというような弁解なのに、マスコミの追及があまりにぬるくて、それをやすやすと通しちゃうような雰囲気があった。それはちょっとおかしいだろうと。公選法違反の嫌疑は全然解消されてないんだということをこの際はっきりさせて、きちんと捜査機関が捜査をして犯罪が立証できる場合にはちゃんと起訴して処罰すべき案件だし、SNSの活用が非常に大きな力を持つということの中で、業務としての選挙の関わりというのはどうあるべきなのかという問題にも関連している。今後の選挙の公正を考える上でもこれは放置できない問題だろうというふうに考えたので、できるだけの客観的に明らかな事実だけから言えることを中心に告発をした、というのが今回の告発状です」 ――斎藤知事は改めて疑惑を否定している。 「71万5000円の支払いが選挙運動の報酬ではなかったかのような説明をしているが、それはもう通らないということをいろんな方向から実証していった。しかもその根拠になっているものの多くは、斎藤陣営側の選対の主力メンバーがXで投稿している内容。折田氏との間で事前の意思疎通をして了解の上で出されたnoteの投稿だということは明らかだ。そうだとすると、そもそも代理人弁護士が言っているような、あれは盛ってるとか事実に反するという話になるわけがない。ちゃんと(事前に)中身を確かめているわけだから。そういうところも全然世の中には理解されていなかったところも含めてしっかり告発状の中に書いた。告発状に出てくるのは最初から表に出ている事実、表に名前が出ている人ばかりです」 ――知事は知らないとシラを切っているのか。 「斎藤陣営の中で、斎藤氏は知らなかったけれども陣営の主力メンバーは意思疎通してたっていうことは普通考えにくいですよね。それは内部の話だから内部だけでっていうことはあり得るかもしれないけど、ただ斎藤氏が知っているかどうかということじゃなくて、選挙の状況を一番よく知っているのは選対の主力メンバーじゃないですか。その人たちがこの内容で間違いない、と言って拡散までしているわけだから、少なくともあそこに書かれていたことは間違いない。斎藤氏の主張するように、仮にSNS運用は任せたわけじゃなくて、ボランティアの1人に過ぎなかったということであれば、あの内容は選対のメンバーたちの認識にも反するはず。当然これは全然事実と違うということで投稿なんかさせなかったはずですよね。だからそういう経過からも基本的にnote投稿が真実だということは十分に言えるんじゃないか。 それに加えて告発状では代理人の弁護士が説明をした後に、また選対の主要メンバーの森健人氏(西宮市議)の投稿を取り上げているんですね。要は中身を見た上で広めたんだろうという指摘に対して、『違法性がないので拡散をしておりました』『違法性がない旨は昨日、代理人の方が会見された通りです』と説明しているんですよ。それよりも中身がどうなのかっていうことが問題になっているのにそれについて何1つ言い訳もしていない。だから事後的にも中身を自分が全て確認した上で出したんだということはこの森健人氏は実質、認めているわけです」 ――森市議は折田氏の投稿前、自身のXで「陣営側としてSNSをお願いしていた方はお一人のみ」と明言し、折田氏のインスタグラムを紹介。その後、noteが投稿されると、「今回の選挙においてSNSや紙媒体等担当された方です!裏話?等、詳しく書いてあるので是非ご覧ください」と反応、折田氏がそれに対して感謝をつづった。 「そういったことからして、斎藤氏側はおよそもう弁解できない話。note投稿に書いていることは基本的に真実だと。そうすると斎藤氏側の代理人弁護士の説明は全然成り立たなくなる。ポスターやチラシ制作など5項目しか頼んでなくて、それ以外は全部ボランティアだとか。そもそもSNS運用を提案されたことも認めている。提案されたのは断って、結局個人でボランティアでやってくれたと。そんなバカな話が世の中にあるわけないでしょう。その会社にとっては一番得意な業務としてやっている話を、それを仕事としてやることを提案しているのにそれを断ってタダでやってください、ボランティアでやってくださいというのはちょっと考えられない」