「夢や目標はない」と語る奥田民生が30年間ソロ活動を続けてきた理由
ソロ活動30周年を迎えた奥田民生さんが『59-60 奥田民生の仕事/ 友達/ 遊びと金/ 健康/ メンタル』(ダイヤモンド社)を出版し、注目が集まっている。「いい感じにゆるい」その生き方はいつの時代もカッコいい。 【写真】奥田民生に聞く「ゆるく生きる」ってどういうこと? 前編【「パーマの1液と2液の間に買い物に行く」実はタイパ重視な奥田民生の「ゆるさ」の正体】では、奥田さんの「ゆるい」イメージとは裏腹に、「時短」や「効率」をかなり重視しているという時間へのこだわりについてお伝えした。後編では、ミュージシャンとして辿ってきた道について。「夢や目標はない」と言い切る奥田さん。好きなことを緩やかに続けるために大切にしていることとは。
子供の頃から夢もないし目標もなかった
なかなか奥が深すぎて、憧れはあっても簡単には真似たり取り入れたりするのが難しそうな奥田さんのゆるさのバランス。そこで一回原点に立ち戻って、そもそも「ゆるく生きる」とはどういうことだと思うか、奥田さんに伺ってみた。 「僕にとっては、目指しているものがないっていうことかな……。本にも書いたんですけど、僕は子供の頃から夢もないし目標もない。まあミュージシャンになりたいとは思ったけど、それぐらいで、何か明確なものはないんですよ。『東京ドームでライブやりたい』とかね。なので、もうゆるいですよね」 たしかに目標としてはかなりざっくりしている。そのようなスタンスになったのは、何かきっかけがあったのだろうか? 「子供のときちょっと喘息とかもあって、運動音痴だった時期があったんですよ。今はそこまでじゃないけど、子供の頃に運動ができないってけっこう人生観に影響与えるじゃないですか。何かスポーツをやっていたら、1位になるとか何秒で走るとか、明確な目標が生まれますよね。まずそういうのがなかった、というのは大きかったと思います」 かといって、絵がすごく上手いとか勉強ができるとか、他に何か得意なことがあったわけでもない。その状況から何か存在感を出すには……といったようなことを、無意識に考えるようになったのかもしれない、と振り返る。 「まあ、実際子供のときにそこまで考えていたわけじゃないけど、そういう感じで暮らしてきたのが根本にあるのかな。だからといって、誰かが何か熱く語っていることに対して、『そうだね、そうだね』と頷くだけじゃなくて。『そことは違うところで面白いことはないだろうか』みたいな考え方に……。ちょっと天邪鬼みたいなことになってしまった、というか、そう見せかけてみたのかな。子供心に、正面からでは勝負にならないので、みたいなところはあったと思いますよ。何て言うか、負け犬根性かね」