コロナ禍でゲームの魅力にどっぷり 大学のキャリアセンターをフル活用して、セガに就職
6社のインターンシップに参加
3年次の8月から翌年2月ごろまでに、ゲーム業界6社のインターンシップにも参加しました。そこで得られた経験も大きかったと言います。 「1カ月間の長期のインターンシップでは、グループで企画の原案を作るなど、初めてゲーム制作を体験することができました。インターンシップはオンラインが多かったのですが、セガは実際のオフィスで体験できたので、自分自身が働くイメージをよりはっきりと持つことができました」 セガのインターンシップでは、ポートフォリオ作成のためのセミナーのほか、原さんが作成したポートフォリオを添削してもらえる機会もありました。実績や技術を示すポートフォリオは、クリエーター系の職種を希望する場合に欠かせないものです。 「大学で映像作品について幅広く学んだことは自分の強みだったのですが、制作した作品をポートフォリオにすると、『一番やりたいことがわからない。やりたいことをもっとアピールしたほうがいい』と言われました」 原さんが志望していたのは、「キャラクターモデラー」。2Dで作成したキャラクターを3Dにモデリング(形成)する作業をする人のことです。そこで3DCGの作品がメインになるようにポートフォリオを作り直し、それからは就活もうまくいくようになりました。 「私はセガの人気キャラクターであるソニックが好きでした。360度カッコいい造形なのはもちろん、ハリネズミの要素と人間らしさみたいなものが絶妙なバランスで取り入れられているところに魅力を感じていました。私も生き物の要素を抽出してキャラクターデザインをしたことがあったので、セガではそうした経験も生かせると感じ、この会社に入りたいと思うようになりました」
採用の決め手とは?
原さんの最終的な目標は、「世界のだれかの『ベスト・オブ・ゲーム』になるようなゲームを届けること」です。就活の面接では、その目標をどうしても達成したいという思いを伝えました。セガ人事部の辻麗奈さんは、原さんを採用した決め手は「高い基礎画力とモノづくりへの貪欲さ」、そして「心地いいコミュニケーションが取れること」と話します。 「原さんはデザイナー職での採用ではありますが、ゲーム作りはチームで行うものです。プランナーが作成した仕様書をもとにゲームが作られますが、セガではデザイナーやプログラマなどからもそれぞれの専門領域の視点からゲームをより面白くするために提案をすることがあります。ですから自分が考えていることを言語化して相手に伝える力が求められます」 セガの採用は、総合職と開発職(プランナー、プログラマ、デザイナー、サウンド、技術職)に分かれています。原さんは大学時代に独学でゲーム制作を学びましたが、ゲーム会社側はどの程度のスキルを求めているのでしょうか。人事部の辻さんは次のように話します。 「職種によりますが、例えばデザイナー職で、原さんのようにキャラクターモデラー志望の場合、大学でデザインの基礎を学んでいれば、3DCGのようなスキルは入社してから習得できると考えています。プログラマはプログラミングの経験は必要ですが、それはゲームではなくてもかまいません。またセガにおいて職種問わず重視している点は、ゲーム・エンタメが好きなこと。変化を恐れず新しいチャレンジを楽しめること。自分なりのこだわりを持ち、情熱を持ってやり抜く力を持っていることです」 原さんは大学時代、コロナ禍でのスタートだったこともあり、部活やアルバイトはせず、ひたすら作品づくりに没頭していました。 「いつも何かを作っていました。映画制作では、脚本、監督、撮影なども経験しました。大変ではありましたが、作品づくりを通して最後までやり遂げる力が身についたと思います」 自分の興味のあることや大学で学んだことを生かして、キャリアセンターや企業のインターンシップを積極的に活用したことが夢をかなえられた要因といえそうです。
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